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書籍詳細

新薬はこう使え!
かかりつけ医で診るアトピー性皮膚炎診断と治療社 | 書籍詳細:かかりつけ医で診るアトピー性皮膚炎

京都大学皮膚科名誉教授/静岡社会健康医学大学院大学学長

宮地 良樹(みやち よしき) 編集

浜松医科大学皮膚科学講座教授

本田 哲也(ほんだ てつや) 著

武岡皮膚科クリニック院長

武岡 伸太郎(たけおか しんたろう) 著

初版 A5判 並製 136頁 2024年06月20日発行

ISBN9784787826459

定価:3,740円(本体価格3,400円+税)
  

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2018 年のデュピルマブの発売以降,アトピー性皮膚炎の新薬は次々とでています.しかし,開業医で新薬による治療を行っているところは少数のままです.本書は宮地良樹医師を聞き手,大学皮膚科医である本田哲也医師,地域で開業している武岡伸太郎医師を話し手とした対談から原稿を作成.第I部はアトピー性皮膚炎の病態論など,第II部は「かかりつけ医」で実際に行っているアトピー性皮膚炎治療,新薬の使い方などを解説.

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目次

序文
執筆者一覧
本書の特徴

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第Ⅰ部 潮目を迎えた アトピー性皮膚炎診療
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1 アトピー性皮膚炎の病態論はどう変わったのか?
 1)三位一体論:ドライスキン・かゆみ・アレルギー炎症
 2)アトピー性皮膚炎病態のコアとなるType2炎症とは?(Th2/Tc2細胞,2型自然リンパ球)
  (1)言葉の由来
  (2)なぜType2炎症は起こるのか:三位一体論で考える
  (3)アトピー性皮膚炎と接触皮膚炎との違い
  (4)アトピー性皮膚炎におけるドライスキンの重要性
 3)デュピルマブによるトップダウンの病態論ブレイクスルー─各種生物学的製剤の治験結果から明解となった病態の理解
 4)なぜ難治化するのか?
  (1)tissue resident memory T細胞の存在
  (2)エピジェネティクスの変化
  (3)難治化・再発予防の治療ストラテジー
 5)アレルギーマーチをどう考える?
  (1)三位一体論から考えるアレルギーマーチ
  (2)動物実験と経皮感作
2 アトピー性皮膚炎の評価方法はどう変わったのか?
 1)重症度と病勢の評価(評価スコア,バイオマーカー)
  (1)評価スコア:EASIスコアとSCORADスコア
  (2)バイオマーカー:TARCを中心に
 2)患者自身による病勢の評価(ADCTスコア,POEMスコア)
  (1)ADCTスコア
  (2)POEMスコア
 3)QOLの評価(DLQI,Skindex29,Skindex16)
  (1)DLQI
  (2)Skindex29
  (3)Skindex16
 4)かゆみの評価法(VAS,WI-NRS,デジタルツール)
  (1)VAS(Visual Analog Scale)
  (2)WI-NRS(worst Itch-numerical rating scale)
  (3)デジタルツール
 5)プロアクティブ療法の意義は?
 6)どういうときに全身療法が必要となるのか?
3 アトピー性皮膚炎の治療はどう変わったのか?
 1)外用療法・スキンケアは今も重要か?
 2)従来の治療の問題点は何だったのか?
  (1)抗ヒスタミン薬
  (2)ステロイド外用薬
  (3)タクロリムス外用薬
  (4)シクロスポリン
 3)新規治療薬は何が違うのか? その位置づけ・使い分けは?
  (1)抗IL-4/13 受容体抗体デュピルマブ
  (2)抗IL-31 受容体抗体ネモリズマブ
  (3)経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬(外用・内服)
  (4)ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬「ジファミラスト」
4 今後のアトピー性皮膚炎治療の動向と展望は?
 1)デュピルマブに続く生物学的薬剤
 2)今や標準薬となったデュピルマブを超える新薬剤は出現するか?
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第Ⅱ部 かかりつけ医で診るアトピー性皮膚炎治療
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1  新しい病態論によりかかりつけ医のアトピー性皮膚炎診療はどう変わったか?
 1)旧来の治療と新規治療の二極化は進んだか?
 2)新規治療に踏み切れない理由は何か?
  (1)医師たちの事情
  (2)筆者の変遷で考える:大学病院勤務から地元のクリニックへ
  (3)地域格差の問題
2 かかりつけ医はどこまで新規治療薬による介入を行うべきか?
 1)皮膚科専門医と非専門医のすみわけ
  (1)アトピー性皮膚炎診断における皮膚科専門医と非専門医との違い
  (2)アトピー性皮膚炎との鑑別が難しい疾患
 ◆本音deトーク 宮地良樹のコラム  ガイドラインに「皮膚科専門医」と一筆入らなかった訳は……
 ◆武岡伸太郎のコラム  当院のモットー「患者家族との信頼関係は,初診の1回で築く」
 ◆武岡伸太郎のコラム かかりつけ医の業務実態調査(2016 年度)
 ◆武岡伸太郎のコラム  アトピー性皮膚炎でのJAK 阻害薬使用は乾癬分子標的薬使用承認施設である必要はなく届け出制である
 ◆武岡伸太郎のコラム web 講演会には積極的に参加しよう
 2)注射薬と内服薬で介入の壁は異なるか?
 3)新規治療薬による成功体験は患者のモチベーションを上げるか?
  (1)患者のモチベーション
  (2)かかりつけ医のモチベーション
  (3)開業医の先輩として若い皮膚科医へ
  (4)新規治療薬を使うとかかりつけ医は
 ◆武岡伸太郎のコラム 医師としてのモチベーション:筆者の場合
 ◆武岡伸太郎のコラム 美容医療業界にキャリアチェンジするということ
 ◆本音deトーク 宮地良樹のコラム 皮膚科医よ! 凛とせよ!
 4)クリニックにおけるメディカルスタッフの役割
  (1)医師の役割
  (2)看護師
 ◆武岡伸太郎のコラム Finger Tip Unit(1 FTU)って何?
 5)薬剤による診療点数の上昇
 ◆武岡伸太郎のコラム 皮膚科専門医のサバイバル時代がやってくる
3 アトピー性皮膚炎治療の社会的決定要因は?
 1)コスト問題をどうクリアするか? その工夫は?─患者自身の経済的負担,医療経済全体を考えたときの負担,症状改善・労働生産性向上による経済効果
  (1)患者自身の経済的負担,医療経済全体を考えたときの負担
  (2)症状改善・労働生産性向上による経済効果
 ◆本音deトーク 宮地良樹のコラム 医療経済で考える爪白癬の治療
 2)患者家族と医師との信頼関係をどう構築するか?
  (1)新規治療薬はいつまで使うか
  (2)デュピルマブ(デュピクセントR)とネモリズマブ(ミチーガR),トラロキヌマブ(アドトラーザR):皮下注射薬の第1選択はどちらか
 ◆武岡伸太郎のコラム 長期寛解維持を目指した外用療法を成功させるには
 ◆本音deトーク 宮地良樹のコラム  外用薬を処方しても症状が変わらないのは……
 ◆武岡伸太郎のコラム10 「新時代」の今,なぜ外用療法の見直しなのか??
 ◆本音deトーク 宮地良樹のコラム アドヒアランスをよくする方法
 3)副作用にはどのように対峙するか?
 4)後方支援病院との連携は?
4 かかりつけ医による今後のアトピー性皮膚炎治療の動向と展望は?
 ◆武岡伸太郎のコラム11 筆者が考えた後方支援病院との接点方法
 1)新規治療薬の今後の展望
 2)かかりつけ医の先生方へ
  (1)皮膚科専門医への紹介
  (2)デュピルマブのやめ時について
 ◆武岡伸太郎のコラム12 「脱デュピクセントR」という単語がSNS「X」に登場!
 ◆本音de トーク 宮地良樹のコラム  某大学病院の某先生たちに見習う勉強の仕方

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序文

 アトピー性皮膚炎の病態論とそれに呼応した治療方法論が変容するこの数年の大きなうねりのなかで,アトピー性皮膚炎診療の最前線におられる「かかりつけ医」がどのように対応すべきか,新進気鋭の研究皮膚科医である本田哲也・浜松医大皮膚科教授と故郷丸亀市で意欲的な皮膚科診療を展開する開業医である武岡伸太郎・武岡皮膚科クリニック院長のお二人に私が聞き手となってアトピー性皮膚炎の現況と今後の展望を語り合い,編集部がまとめたのが本書である.ちなみに対談はZoom を用いて週末にそれぞれ2~3 時間をかけて収録され,原稿起こしと校正を経たあと最終的に図表を加えて完成した.お二人とも私の長男と同世代という親子のような年代差があるが,皮膚科診療への熱意と意欲では全く歳の差を感じることはなく,皮膚科医としての凛とした矜持を感じることができる心地よい創作環境であった.
 本田先生は私が京大皮膚科教授時代に入局され,いまや皮膚アレルギー領域の第一人者としてたくましく成長された皮膚科教授であるが,一般医にもわかりやすいように三位一体論をキーワードに,「いまアトピー性皮膚炎の病態がどのように考えられているか」という視点で熱く語っていただいた.従来の病態論が研究の積み重ねによるボトムアップ方式で究明されてきた経緯を認識したうえで,新規生物学的製剤の登場が図らずもトップダウン方式で病態解明に大きく貢献したことを強調された.
 武岡先生は,皮膚科開業医が旧来の標準診療を墨守するグループと新しい治療を積極的に取り入れようとするグループに二極化しつつある現状を指摘したうえで,基幹病院との連携を模索しながら今後の「新しいかかりつけ医」のポジショニングを主張する姿勢に感銘を受けた.
 従来のスキンケア・外用療法から全身療法に上り詰めるというピラミッド式の治療ストラテジーに対して,むしろ当初から全身療法を導入して患者さんに成功体験を実感してもらうことで治療へのモチベーションを維持するほうが,結局医療経済上も患者さんへの治療負荷の側面からも有用かもしれない.したがって,「今後ガイドラインを再考すべきではないか」という今後のアトピー性皮膚炎治療の展望をめぐる発言が別々の収録であるにもかかわらず奇しくもお二人の口から意図せずに出たのが印象的であった.ここに,私は皮膚科医のアトピー性皮膚炎治療をめぐる新たな潮流とトレンドの潮目を感じ取ることができた.
 本書は書き下ろしではなく対談原稿から構成したため,重複や整合性の不十分な面も散見される反面,逆に臨場感溢れる筆致で本音が随所にちりばめられているのが特筆すべきポイントとなったと思われる.ぜひ,アトピー性皮膚炎診療にかかわるすべての皮膚科専門医,ジェネラリストの先生方が本書からアトピー性皮膚炎診療の新しい息吹と若い皮膚科医が語る今後の治療の展望を肌で感じていただければ幸甚である.

2024年桜の季節に
宮地良樹