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子どもの健康と安全演習ノート 改訂第3版診断と治療社 | 書籍詳細:子どもの健康と安全演習ノート 改訂第3版

白梅学園大学名誉教授・小児科医

小林 美由紀(こばやし みゆき) 編著

お茶の水大学名誉教授

榊原 洋一(さかきはら よういち) 編集協力

埼玉医科大学総合医療センター小児科教授

森脇 浩一(もりわき こういち) 編集協力

改訂第3版 B5判 並製 176頁 2024年12月10日発行

ISBN9784787827029

定価:2,640円(本体価格2,400円+税)
  

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保育のスペシャリストを目指す方のための好評テキスト改訂第3版.「講義」で学び,「演習」課題で考えを深め,「おさらいテスト」で理解度のチェックが可能.子どもの健康や安全管理,事故や災害時の事前・事後対策,感染症発生時や体調不良時の対応のほか,障害・疾患をもつ子どもの養護まで,具体的事例を通してわかりやすく学べる一冊.今回の改訂では、新型コロナウイルス感染症に関する内容の追記や予防接種スケジュール表など,本文,図表ともに最新情報にアップデート.

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目次

改訂第3版序文
改訂第2版序文
初版序文
本書の使い方
編著・編集協力

第1章 保健的観点を踏まえた保育環境および援助を知ろう
①子どもの健康と保育環境
 1.子どもの健康を守る保育環境
 2.保健的観点を踏まえた保育環境
 3.子どもの健康に関する個別情報の収集
 4.健康診断(健康診査,健診)

②子どもの保健に関する個別対応と集団全体の健康および安全の管理
 1.子どもの発育の測定と評価の仕方
 2.発育の評価の仕方
 3.子どもの健康の観察の仕方
 4.集団全体の健康および安全の管理
 演習課題
 おさらいテスト

第2章 保育における健康および安全の管理について知ろう
①衛生管理
 1.施設環境
 2.屋内の衛生管理
 3.屋外の衛生管理

②事故防止および安全対策
 1.子どもの事故防止の重要性
 2.子どもの事故の特徴
 3.発達段階別の怪我や事故の種類と発生場所
 4.事故防止のための具体的な方法
 5.事故後の精神的支援
 6.安全対策
 column1  事件・災害の予防と対応

③危機管理と災害への備え
 1.保育における危機管理
 2.保育における災害への備え
 3.安全教育
 演習課題
 おさらいテスト

第3章 子どもの体調不良などに対する適切な対応を知ろう
①体調不良や傷害が発生した場合の対応と応急処置
 1.体調不良時の対応
 2.傷害時の応急処置
 3.事故にあったときの対応
 4.薬の投与の仕方
 5.医療機関受診時の対応

②救急処置および心肺蘇生法
 1.救急処置
 2.子どもの心肺蘇生法
 column2  子どもの新しい心肺蘇生指針
 演習課題
 おさらいテスト

第4章 子どもがよくかかる感染症の対策を知ろう
①感染症の集団発生の予防
 1.子どもがよくかかる感染症の症状と対応
 2.感染症の流行予防のための対策

②感染症発生時と罹患後の対応
 1.出席停止期間の基準
 2.感染症罹患後の対応
 3.保護者および他職種・自治体との連携
 演習課題
 おさらいテスト

第5章 保育で必要な保健的対応を知ろう
①保育における保健的対応の基本的な考え方
 1.保育活動における保健的な視点
 2.食事における保健的対応
 3.排泄における保健的対応
 4.睡眠時における保健的対応
 5.外出時における保健的対応
 6.保育行事における保健的対応

②3歳未満児への対応
 1.運動機能の発達とその評価について
 2.精神機能の発達とその評価について
 3.3歳未満児の発達に応じた養護の仕方
 column3  子どもへの声かけの仕方

③個別的な配慮を要する子どもへの対応
 1.慢性疾患や障害のある子どもの保育
 2.医療費などの援助
 3.低出生体重児・早産児で生まれた子どもの養護
 4.アレルギー疾患をもつ子どもの養護
 5.神経・筋疾患をもつ子どもの養護
 6.先天性心疾患をもつ子どもの養護
 7. 腎・泌尿器疾患をもつ子どもの養護
 8.血液疾患をもつ子どもの養護
 9.代謝・内分泌疾患をもつ子どもの養護
 10.悪性新生物(悪性腫瘍,小児がん)をもつ子どもの養護
 11.心身症の子どもの養護

④障害のある子どもへの対応
 1.慢性疾患児や障害児の保育における保健的対応
 2.医療的ケア児の養護
 3.医療的ケア児のインクルーシブ保育
 4.肢体不自由児の養護
 5.呼吸障害児の養護
 6.嚥下障害児の養護
 7.視覚障害児の養護
 8.聴覚障害児の養護
 9.発達障害児の養護
 演習課題
 おさらいテスト

第6章 健康および安全の管理の実施体制を知ろう
①保育における保健活動の計画および評価
 1.保健計画作成の根拠
 2.保健計画作成の手順
 3.保健活動の実践

②保健活動における職員間の連携・協働と関係機関との連携
 1.保健活動における職員間の連携・協働
 2.保健活動における関係機関との連携
 演習課題
 おさらいテスト

演習課題の解答(例)とおさらいテストの解答
索引

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序文

改訂第3版序文

 『子どもの健康と安全演習ノート』は,前身の著書からみなさまに大切にしていただき,17年が経ちました.全ての子どもを守るために,私たちができることはまだまだあるとは思いますが,そのために必要なことを考えようとする方々が少しでも増えていくことは嬉しいことです.
 時代とともに環境が変わることに最も影響を受けるのは子どもたちですが,健康や安全において配慮することも広がるとともに,さらに深めていくことが期待されてきています.新型コロナ禍もそろそろ落ち着いてきていますが,このことをきっかけとして,感染症とは切ってもきれない子どもたちの環境に対する関心が深まったことは良かったことかもしれません.また,多様性を尊重する気運の中で,具体的にどのように支援していくかも知識と実践力で身につけていく必要が出てきています.ときに,医療者でないのに,どこまで判断が必要か迷うこともあるかもしれませんが,他職種の方を保育に巻き込むことによって,一層の充実が目指せるでしょう.今回の改訂では,そうしたことを意識しながら,より保育の専門性を高めていくことを目指しました.
 今回も診断と治療社の編集部の方々には丁寧な推敲をしていただきました.全体構成に関しては榊原洋一先生,新しい医学的知見に関しては,森脇浩一先生のご助言を活用させていただきました.本書は,保育を専門とする方に向けての教科書として,現場力を高めていただきたいという願いを込めて編纂していますが,同時に全ての子どもに関わる方々とともに歩むことができれば,望外の喜びです.

2024年9月吉日
小林美由紀


改訂第2版序文

 『子どもの健康と安全 演習ノート』は,前身の『小児保健実習ノート』『子どもの保健演習ノート』の発行から足掛け14年が経ちました.子どもを巡る環境では様々変化がありましたが,子どもの保健を実践するにあたり,子どもたちの成長を見守り,現場での活動を見据えながら考えるというコンセプトは,今も変わりません.
 今回の改訂では,『子どもの保健テキスト』と合わせて時代とともに変化している小児科医療の新しい知見やワクチンや感染症についての記述を追加するとともに,『子どもの保健演習ノート』で演習として取り上げていた発育,発達の記述を追加しました.
 子どもの健康は,子どもたちを取り巻く環境によって変化していくものですが,この1年半で起きたコロナ禍では,まだ先が見通せないなかで大きな影響が懸念されています.社会的な不安が継続するなかで,将来を支える子どもたちの健やかな成長を支えるためには,私たちに何ができるでしょうか.そんな問いかけのなかで,何とかこの困難を乗り越えようと多くの方々が声をあげはじめています.こんな時期だからこそ,経験に裏打ちされた知見を実践してきた保育の専門性をさらに磨き上げるチャンスかもしれません.
 今回の改訂におきましても診断と治療社の編集部の方々には,きめ細かな校正と文章の推敲において支えていただきました.日々進歩する小児科の知見については,榊原洋一先生,森脇浩一先生に多くの助言をいただきました.
 子どもたちと関わる多くの方々とともに,これからも学び続けながら,子どもたちの育ちと環境を見守っていきたいと思います.

2021年10月吉日
小林美由紀


初版序文

 いつの時代も,子どもの事故や予期せぬ病気,虐待のニュースに触れるほど痛ましいことはありません.その度に,どうしたらそうした不幸なことがなくなるのか,私たちに何が足りないのかと考え込まざるをえません.
 世界保健機関憲章の前文には,「子供の健やかな成長は,基本的に大切なことです. そして,変化の激しい種々の環境に順応しながら生きていける力を身につけることが,この成長のために不可欠です」(日本WHO協会訳文)と書かれています.
 子どもたちは,生まれてくる条件,場所や環境を選ぶことはできません.先天的な素質だけでなく,育ててくれる人,経済的環境も子どもの意思で選んだものではありません.それだけに,子どもの環境をつくっている私たちの責任は重いと言えるでしょう.子どもたちが健やかに成長をしていくためには,子どもたち自身が自分で選んだわけではない種々の環境に適応していかなければなりません.私たちは,一人ひとりの子どもが置かれている状況を把握して,必要な支援を考えていく必要があると言えます.
 乳幼児が過ごす場所には,保育所,幼稚園の他に,両方の性格を併せ持つ認定こども園ができ,幼児の保育・教育を一緒に検討する試みが進んでいます.さらに,2019年の10月からは,3歳以上の子どもの保育・教育に対し,幼保無償化が開始され,幼児教育の重要性について取り組む機運に結びついていくことが期待されています.今後は,3歳未満の乳幼児を含めた子どもの育ちにも社会全体の関心が注がれていくことでしょう.
 本書は,保育士養成課程のカリキュラムの改定に合わせて企画されましたが,前著の『子どもの保健演習ノート』の骨組みを引き継いで執筆しました.さらに遡ると,『小児保健実習ノート』での,“多くの方が子育てパートナーとなって子どもを育てることの楽しさを共有できるように”,という願いも繋げていきたいと思っています.
 そのためには,子どもたちを巡る様々な課題に向き合うことが,私たちが次世代に命をバトンタッチするためにも大切なことになるでしょう.
 本書を執筆にするにあたり,医療の第一線で活躍されている森脇浩一先生と子どもを取り巻く環境のオピニオンリーダーでもある榊原洋一先生に貴重なご助言をいただきました.そして,きめ細かに叱咤激励していただいた編集部の方々にも心より感謝申し上げます.
 子どもたちのことをいつも心にかけていただいている皆様とともに,子どもたちの明るい未来を共有できることを願ってやみません.

2019年10月吉日
小林美由紀