2639災害時子ども支援ハンドブック「子どものこころの応急手当」
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こ れ が 大 切 !!災害時の子どもへの支援これまでの人道支援や調査研究を通じて,自然災害や紛争などに巻き込まれた人々の精神的負担を強める 2 つの要因が明らかになっています.1 つめは,危機的状況での社会的支援の欠如感,もう 1 つは,危機的状況において,自分自身や環境,現実感とのつながりを失うことです.そのため,災害支援では,まず被災者の安全を確保し,生存に必要な衣食住や基本的な医療支援に加え,周囲の人々とのつながりや社会的な支援を行うことが重要です.災害の影響を受けた子どもたちもまた,さまざまな心理的・社会的問題に直面しますが,子どもたちも大人と同じように,逆境や困難な経験にうまく適応する力「レジリエンス」を兼ね備えています.しかし,子どもは認知の発達途中であるため,必要とする支援のニーズは大人とは異なります.そのため,子どもの発達と特有のニーズに合わせた支援活動やコミュニケーションの取り方が,子どものこころの健康回復を支えるカギとなります.自然災害や紛争の影響を受けた地域で人道支援を行う国連児童基金(ユニセフ)や子ども支援専門の国際 NGO などが,子どもたちが安心・安全に遊び,過ごすことができる空間“Child Friendly Spaces”(こどもひろば)を開設・運営しています.こどもひろばは,緊急時に子どもを保護し支援するために設置される安全な空間で,その目的は紛争や災害により日常を失った子どもたちが遊びや学びを通して,日常を取り戻すことです.2015 年にユニセフや米国コロンビア大学などが実施したこどもひろばの効果検証では,こどもひろばが子Cha pter 3107災害時のこころのケア災害支援における子どもの居場所づくり●● 異常な事態において子どもが示す正常な反応を知ってほしい.●● すべての人に「心理的応急処置(PFA)」を知ってほしい.●● 子どもだけではなく,子どもの親や保護者も支援する.3子どものこころの応急手当て

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