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雑誌「産科と婦人科」2022年 Vol.89 No.2 早産と妊娠高血圧腎症:病因・病態生理−私はこうみる
掲載論文
企画 石本人士
Ⅰ.早 産
1 .研究の動向と今後の展望 / 中井章人
2 .遺伝学的観点から / 秦 健一郎
3 .前期破水・早産と血液凝固線溶 / 最上晴太・他
4 .細菌叢の観点から / 漆山大知・他
5 .頸管早期熟化の観点から / 大槻克文
6 .無菌性炎症の観点から / 根岸靖幸
Ⅱ.妊娠高血圧腎症
7 .研究の動向と今後の展望:10の疑問 / 大口昭英
8 .絨毛細胞機能の観点から / 成瀬勝彦
9 .アデノシンシグナルと妊娠高血圧腎症の病態機序 / 松井遥香・他
10.オートファジー抑制と妊娠高血圧症候群発症の病態論 / 中島彰俊・他
11.酸化ストレスからみた妊娠高血圧腎症の病態 / 松原圭一
12.妊娠高血圧腎症と血管新生関連因子 / 熊澤惠一
原 著
腹式単純子宮全摘術の術後合併症を予測する因子 / 長安実加・他
症 例
腹腔鏡下手術が有用であった大網妊娠の1例 / 井ノ又裕介・他
筋腫分娩様形態を呈した有茎性粘膜下子宮腺筋腫の1例 / 近藤好美・他
分娩前の画像検査で予見できなかった常位癒着胎盤の1例 / 山内諒子・他
Ⅰ.早 産
1 .研究の動向と今後の展望 / 中井章人
2 .遺伝学的観点から / 秦 健一郎
3 .前期破水・早産と血液凝固線溶 / 最上晴太・他
4 .細菌叢の観点から / 漆山大知・他
5 .頸管早期熟化の観点から / 大槻克文
6 .無菌性炎症の観点から / 根岸靖幸
Ⅱ.妊娠高血圧腎症
7 .研究の動向と今後の展望:10の疑問 / 大口昭英
8 .絨毛細胞機能の観点から / 成瀬勝彦
9 .アデノシンシグナルと妊娠高血圧腎症の病態機序 / 松井遥香・他
10.オートファジー抑制と妊娠高血圧症候群発症の病態論 / 中島彰俊・他
11.酸化ストレスからみた妊娠高血圧腎症の病態 / 松原圭一
12.妊娠高血圧腎症と血管新生関連因子 / 熊澤惠一
原 著
腹式単純子宮全摘術の術後合併症を予測する因子 / 長安実加・他
症 例
腹腔鏡下手術が有用であった大網妊娠の1例 / 井ノ又裕介・他
筋腫分娩様形態を呈した有茎性粘膜下子宮腺筋腫の1例 / 近藤好美・他
分娩前の画像検査で予見できなかった常位癒着胎盤の1例 / 山内諒子・他
ねらい
疾患の病因・病態生理の解明は,医学研究の王道であり,研究成果は診断法,治療法の開発,ひいては予防にもつながり得るものです.しかしその道のりは往々にして険しく,いまだに病因・病態生理が掴めない疾患も数多く存在します.
母児双方の予後を大きく左右する早産と妊娠高血圧症候群は,産科学の2大研究テーマです.妊娠高血圧症候群は,かつて「学説の疾患」とよばれていたことが示すように,病因・病態生理に関して非常に多くの仮説が提唱されてきました.近年,関係者の多大なご尽力により新たな診断基準が臨床導入され疾患カテゴリーが整理されました.またこの20年余りの間に急速に進展した研究により,妊娠高血圧症候群のうち妊娠高血圧腎症(preeclampsia)の病態形成については,子宮らせん動脈のリモデリング不全とそれに伴う子宮胎盤循環での虚血・低酸素状態が基盤にあるとのコンセンサスが得られてきました.
一方,早産は様々な原因に発し,医原性を除き,最終的には早期にアンタイムリーに起きる分娩という形に収束する症候群といえます.原因が多岐にわたりますが,各々の原因についての詳細な検討と共通項である分娩過程の究明が続いています.両症候群とも,病因・病態に関連した膨大な研究により様々な側面が明らかになってきましたが,まだ不明な点も数多く残されており,全貌を捉えたとは言い難い状況です.
そこで本号では,早産と妊娠高血圧腎症という産科2大異常を取り上げ,エキスパートの先生方に進化,遺伝,細菌叢や炎症,酸化ストレスや免疫など様々な角度から,病因・病態を最新の知見に基づき解説いただくとともに,自由に論じていただくことにしました.2つの異常を同一特集で取り上げることは新しい試みではあります.しかし疾患の場は共通し,免疫機構など共通する部分がないわけではありません.両者をあえて対比することで新たな洞察が生まれる可能性にも期待しました.多面的に捉えることや,様々な筆者のご意見の中から,読者の皆様が日常臨床にも役立つ新たな気づきや研究のシーズを発見していただけることを願っております.
(東海大学医学部専門診療学系産婦人科 石本人士)
母児双方の予後を大きく左右する早産と妊娠高血圧症候群は,産科学の2大研究テーマです.妊娠高血圧症候群は,かつて「学説の疾患」とよばれていたことが示すように,病因・病態生理に関して非常に多くの仮説が提唱されてきました.近年,関係者の多大なご尽力により新たな診断基準が臨床導入され疾患カテゴリーが整理されました.またこの20年余りの間に急速に進展した研究により,妊娠高血圧症候群のうち妊娠高血圧腎症(preeclampsia)の病態形成については,子宮らせん動脈のリモデリング不全とそれに伴う子宮胎盤循環での虚血・低酸素状態が基盤にあるとのコンセンサスが得られてきました.
一方,早産は様々な原因に発し,医原性を除き,最終的には早期にアンタイムリーに起きる分娩という形に収束する症候群といえます.原因が多岐にわたりますが,各々の原因についての詳細な検討と共通項である分娩過程の究明が続いています.両症候群とも,病因・病態に関連した膨大な研究により様々な側面が明らかになってきましたが,まだ不明な点も数多く残されており,全貌を捉えたとは言い難い状況です.
そこで本号では,早産と妊娠高血圧腎症という産科2大異常を取り上げ,エキスパートの先生方に進化,遺伝,細菌叢や炎症,酸化ストレスや免疫など様々な角度から,病因・病態を最新の知見に基づき解説いただくとともに,自由に論じていただくことにしました.2つの異常を同一特集で取り上げることは新しい試みではあります.しかし疾患の場は共通し,免疫機構など共通する部分がないわけではありません.両者をあえて対比することで新たな洞察が生まれる可能性にも期待しました.多面的に捉えることや,様々な筆者のご意見の中から,読者の皆様が日常臨床にも役立つ新たな気づきや研究のシーズを発見していただけることを願っております.
(東海大学医学部専門診療学系産婦人科 石本人士)