株式会社 診断と治療社

産科と婦人科 最新号

  • 臨床にすぐに役立つ知識や最新知見を毎号1テーマで特集.
  • エキスパートによる解説が読み応え十分!
  • 増刊号は網羅的な構成で「手元にあると便利な1冊」として毎年好評.
  • 2色刷りのビジュアルな誌面でポイントが一目でわかりやすい.

雑誌「産科と婦人科」2022年 Vol.89 No.4 婦人科腹腔鏡下手術TLH/LM/LCの基本とコツ

定価:
3,190円(本体価格 2,900円+税)
在庫:
在庫僅少
カートに入れる

電子版はこちらからご購入いただけます.

バックナンバー

バックナンバー 一覧

当社発行の雑誌は論文単位でPDFファイルのダウンロード購入が可能です.
詳細はメディカルオンラインへ

メディカルオンライン

掲載論文

企画 五十嵐敏雄

Ⅰ.全腹腔鏡下子宮全摘術(TLH)
1.TLHにおける骨盤解剖―尿管の同定と子宮動脈処理と基靱帯処理のために― / 砂田真澄・他
2.TLHにおける尿管・子宮動脈へのアプローチ―前方vs側方vs後方― / 林 茂徳・他
3.TLHにおける腟断端の修復と術後腟断端離開予防 / 羽田智則・他
4.TLHにおける大きい子宮の場合と子宮腺筋症の場合のコツ / 小堀宏之
5.TLHにおける膀胱剝離と骨盤臓器脱予防手技 / 谷村 悟・他
6.TLHにおける子宮の回収方法 / 山中章義・他
7.TLHにおけるトラブルシューティング / 出浦伊万里
8.腹腔鏡下手術TLH/LMにおける縫合・結紮の基本とコツ / 堀澤 信・他
9.技術認定審査に合格するためのTLHのポイント / 楠木 泉
Ⅱ.腹腔鏡下子宮筋腫摘出術(LM),腹腔鏡補助下子宮筋腫摘出術(LAM)
10.LMおよびLAMの基本とコツ / 浅田弘法・他
11.LMにおける筋腫回収のコツ / 太田啓明・他
Ⅲ.腹腔鏡下卵巣囊腫摘出術(LC),腹腔鏡補助下卵巣囊腫摘出術(LAC)
12.腹腔鏡下卵巣チョコレート囊胞摘出術(LC)の適応と基本 / 竹内亜利砂・他
13.卵巣チョコレート囊胞に対する手術のコツ―microsurgical approachを意識した囊腫摘出術および再発させない治療戦略― / 岩井夏実・他
14.腹腔鏡下卵巣奇形腫摘出術の基本とコツ / 太田邦明・他
15.腹腔鏡下卵巣囊腫摘出術(LC,LAC)で囊腫内容の影響を少なくする工夫 / 五十嵐敏雄・他

症 例
右傍卵巣囊腫に対する腹腔鏡下付属器切除時の予防的対側付属器切除により早期の左卵管がんと診断された1例 / 辻 麻亜子・他
原因不明の急性腹症に対し,吊り上げ式審査腹腔鏡下に卵管捻転と診断,治療し得た1例 / 田中桜子・他

ねらい

 婦人科を志す医師にとって腹腔鏡下手術は習得しなければならない技術になった.腹式単純子宮全摘術ができれば一人前の婦人科医になれた気がしていた時代は終わったのである.日本産科婦人科内視鏡学会専門医になるためにも,いまや安全かつ着実に全腹腔鏡下子宮全摘術(total laparoscopic hysterectomy:TLH)ができることが求められる.そのために腹腔鏡の知識や骨盤解剖や安全対策を身につけ,結紮などの基本技術をドライボックスなどで練習しなければならない.通常は術者にすぐにはなれず,最初は助手や手術見学からスタートする.いきなりTLHをさせてもらえる場合はまれで,術者として比較的簡単な手術とされる腹腔鏡下卵巣囊腫摘出術(laparoscopic cystectomy:LC)や腹腔鏡下子宮筋腫摘出術(laparoscopic myomectomy:LM)を経験させてもらってから,TLHを担当させてもらえることが多い.
 TLH,LM,LCは婦人科医にとって腹腔鏡下の基本3術式であるが,それぞれ奥が深く正しい基本とコツを習得しないといけない.TLHでは骨盤解剖,尿管の同定法と子宮動脈処理,基靱帯処理,膀胱剝離,腟断端縫合などが基本となる.コツは大きい子宮の手術法,腟などから裂傷なく摘出子宮を回収する方法,術後の腟断端離開や腟断端脱の予防法,子宮腺筋症で出血量を減らす方法などである.LMでは筋腫の牽引法,筋腫摘出時の剝離切開層の同定法,筋層の縫合修復法,筋腫片を飛散させない回収法などが基本で,コツは筋腫の回収ルートの工夫や高価な器具に頼らない腹腔鏡補助下子宮筋腫摘出術(laparoscopic assisted myomectomy:LAM)による筋腫の回収法などである.LCでは正常卵巣部分の手術によるダメージを最小限にする知識や手術方法,子宮内膜症での出血量や手術時間を少なくする方法が基本で,コツは囊腫内容の術中破綻による影響を少なくする方法で,奇形腫での腹腔鏡補助下卵巣囊腫摘出術(laparoscopic assisted cystectomy:LAC)の積極的導入,子宮内膜症での内容液の積極的穿刺吸引の工夫などである.
 婦人科腹腔鏡下手術の普及に伴い基本と問題点と対応法が明らかになってきた.本特集により多くの婦人科医が基本3術式TLH,LM,LCをレベルアップさせ,より安全な手術の提供につながることを望んで止まない.

(帝京大学ちば総合医療センター産婦人科 五十嵐敏雄)
top