株式会社 診断と治療社

産科と婦人科 最新号

  • 臨床にすぐに役立つ知識や最新知見を毎号1テーマで特集.
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  • 増刊号は網羅的な構成で「手元にあると便利な1冊」として毎年好評.
  • 2色刷りのビジュアルな誌面でポイントが一目でわかりやすい.

雑誌「産科と婦人科」2023年 Vol.90 No.3 子宮体部悪性腫瘍の最前線

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掲載論文

企画 宮城悦子

Ⅰ.研究の最前線
 1 .子宮内膜がんの発がん分子機構 / 京 哲
 2 .子宮体がんのstem cell研究の最前線 / 石黒竜也・他
 3 .子宮肉腫研究の最前線 / 小野山一郎・他

Ⅱ.診断・治療の最前線
 4 .子宮体部悪性腫瘍の画像診断の最前線 / 藤井進也・他
 5 .子宮体がんに対する抗がん化学療法の最前線 / 野村弘行
 6 .子宮体がんに対する妊孕性温存治療の最前線 / 坂井健良・他
 7 .難治性子宮体がん治療に期待される分子標的治療薬 / 馬場 長・他
 8 .子宮体がんに対するレンバチニブ+ペムブロリズマブ療法の最前線 / 黒須博之・他
 9 .子宮体がんに対する手術療法の最前線 / 濵西潤三・他
10.子宮体部腫瘍(がん,がん肉腫,肉腫)に対する遺伝子検査の選択とタイミング,患者説明のポイント / 植木有紗
11.子宮平滑筋肉腫治療の最前線 / 西川忠曉
12.子宮内膜間質肉腫の診断・治療の最前線 / 加藤友康

連 載
専門医・認定医をとろう!私の体験記 第2回
超音波専門医(日本超音波医学会) / 古谷菜摘

症 例
巨大子宮筋腫と反対の回転を呈した子宮捻転の1例 / 緒方泰彦・他

ねらい

 国際的に子宮体がん(内膜がん)の罹患率は上昇しており,プラチナ製剤主体の従来の抗悪性腫瘍薬による化学療法はある程度有効ではあるものの,難治性の進行再発がんに対して新たに有効な2次治療を私たちは望んでいました.そのような状況で,複数の異なるがん種への治療薬として,免疫チェックポイント阻害薬が実臨床での使用が可能となり,高悪性度の体がんにも効果が期待されています.一方で,これまで遭遇したことのないパターンの多様な副作用にも注意が必要となります.治療現場では,ミスマッチ修復機能が欠損し,高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI—H)腫瘍を有する子宮体がん患者には特に効果が期待できるという知見から,ペムブロリズマブの使用が開始されました.さらに,経口チロシンキナーゼ阻害薬のレンバチニブ抗PD—1抗体ペムブロリズマブの併用療法が「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の子宮体がん」の適応で承認されたことにより,子宮体がんの治療は新たな局面を迎えています.また,米国で開始された大型がんゲノムプロジェクトTCGA(The Cancer Genome Atlas)による網羅的な遺伝子,ゲノム,メチル化異常や関連する蛋白質発現異常についての解析は,子宮体がんの発生機序についても,従来のタイプⅠ,タイプⅡという考えからのパラダイムシフトを引き起こし,今後新たな治療法が登場することも期待されています.
 本号は,子宮体がんの標準治療と新規治療法について,また子宮体がんの子宮温存療法や低侵襲手術の考え方や実際のコンセンサスについて,現場医師の理解が進むことを期待し,企画しました.さらに,希少がんではありますが,時に治療に難渋し術後療法の適応に迷うことも多い子宮肉腫のなかで,子宮平滑筋肉腫と子宮内膜間質肉腫についての最新知見も織り交ぜています.この1冊で,子宮体部悪性腫瘍の今について,治療現場の医師が効率的にキャッチアップできることを願います.

(横浜市立大学医学部産婦人科学教室 宮城悦子)
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