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産科と婦人科 最新号

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雑誌「産科と婦人科」2023年 Vol.90 No.4 保険適用になった不妊治療−できること・できないこと

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掲載論文

企画 五十嵐敏雄

Ⅰ.実際の運用と影響と課題
 1 .不妊診療保険適用の影響と課題 / 能瀬さやか・他
 2 .不妊診療保険適用における注意点―施設基準と年齢制限と運用上の問題点― / 宮﨑亮一郎
 3 .ARTの治療戦略 / 京野廣一・他
 4 .ART施設の経営戦略 / 田中 温
 5 .保険で行えない最新不妊検査・治療 / 小宮慎之介・他

Ⅱ.保険適用になった治療・手技
 6 .不妊検査,AMH,子宮内膜着床能検査 / 高島明子・他
 7 .一般不妊治療・人工授精・精子調整 / 辰巳賢一
 8 .卵巣刺激 / 杉山力一・他
 9 .採卵・体外受精 / 浅田義正
10.媒精・顕微授精 / 竹内 巧
11.胚培養・タイムラプス / 竹島和美・他
12.胚凍結管理 / 菊地 盤
13.胚移植・黄体補充 / 鍋田基生
14.不育症 / 佐藤善啓・他
15.男性不妊 / 石川智基

連 載
弁護士が答えます!法律にまつわるあれこれ
診療ガイドラインの推奨と異なる治療方法を選択すると法律的にどうなるの? / 福原正和

原 著
5port 全腹腔鏡下子宮全摘術(TLH):ダブルパラレル法 / 吉池奏人・他

ねらい

 菅 義偉元首相の肝入りで2022年4月に体外受精・胚移植(IVF—ET)など不妊治療の保険適用が施設基準・年齢制限・回数制限などの条件つきでスタートした.日本生殖医学会もそれにあわせるように2021年に『生殖医療ガイドライン』を発刊した.不妊治療はこれまで倫理的な節度を保ちながら最新の高度な方法を用いてでも最善の結果を出すことが求められてきた.産婦人科医の多くがこうした不妊治療に保険適用が馴染むのかと疑問を抱く一方で,患者側の経済的負担が年々増して,不妊治療の保険適用化を求める声が大きくなっていた.保険となると不妊治療費の一部を国民に負担させることになるわけで反対意見も多数懸念されたが,深刻な少子化にあって政府としては待ったなしの状況だったと思われる.
 保険適用により手続きが面倒な補助金申請や所得制限がなくなりトータルで経済的負担も減って多くのカップルが若い年齢から不妊治療を開始できるようになった.年齢制限・回数制限が設定されたことで30代後半までのカップルが不妊治療を早めに開始する契機になっており,高年のカップルが一定の年齢で不妊治療を諦める契機にもなっている.医療施設側は不妊治療の保険適用により標準治療の提供という制限があるなかで最善の医療を提供しなければならなくなった.実施可能な追加項目が示されて原則的に混合診療は回避されているが,保険診療は必ずしも『生殖医療ガイドライン』の内容に沿っておらず,不妊治療が患者ごとの原因や反応に適した最善・最高のものではない場合もあって,実際の診療現場では様々な問題やジレンマが生じていると思われる.
 本号では『生殖医療ガイドライン』で示されている治療法の解説と保険診療下で提供されている実際の治療内容とその課題をエキスパートに伺った.さらに保険適用にならない高年女性の不妊治療の現状と今後についてもご解説いただいた.本号が少しでも先生方の実際の不妊治療に貢献することを期待してやまない.

(帝京大学ちば総合医療センター産婦人科 五十嵐敏雄)
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