株式会社 診断と治療社

産科と婦人科 最新号

  • 臨床にすぐに役立つ知識や最新知見を毎号1テーマで特集.
  • エキスパートによる解説が読み応え十分!
  • 増刊号は網羅的な構成で「手元にあると便利な1冊」として毎年好評.
  • 2色刷りのビジュアルな誌面でポイントが一目でわかりやすい.

雑誌「産科と婦人科」2023年 Vol.90 No.6 「痛み」に強くなる

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掲載論文

企画 石本人士

 1.痛みと鎮痛のしくみ / 丸山一男
 2.妊婦における麻酔関連薬剤の薬理学 / 濱場啓史・他
 3.脊髄幹鎮痛による無痛分娩の実際 / 細川幸希
 4.産科麻酔における末梢神経ブロック の実際 / 角倉弘行
 5.医療安全に留意した無痛分娩 / 照井克生
 6.オキシトシンの疼痛抑制作用 / 川﨑 展・他
 7.術後の疼痛(術後痛)管理の実際と留意点 / 小松崎 誠・他
 8.女性の片頭痛・筋緊張型頭痛への対応 / 牧田和也
 9.新しいICD—11慢性疼痛コードの臨床応用 / 森脇克行・他
10.慢性骨盤痛と外陰前庭痛の管理 / 関口由紀
11.慢性疼痛に対する鍼灸治療 / 伊藤和憲
12.線維筋痛症の診療 / 村上正人
13.穿刺(ワクチン接種を含む)を契機とした遷延痛への対応 / 北原雅樹
14.がん疼痛の薬物療法 / 余宮きのみ
15.がん患者の感情的苦痛の対応 / 佐伯吉規

連 載
弁護士が答えます!法律にまつわるあれこれ
親族間で医院を承継する場合,どのような観点に着目して,どのように話を進めればいいの? / 福原正和

症 例
血清CA125が異常高値を示したエリスロポエチン産生子宮筋腫の1例 / 牧野田 佳・他

ねらい

 痛みは体の異常を本人に知らせる非常に重要な感覚であり,愁訴として最も多いものである.古来より医療は痛みと向きあい,これを疾患や傷害の存在や部位を診断する手がかりとし,また緩和する様々な手当を行ってきた.
 痛みが患者本人にしかわからない自覚症状であるがゆえに,研究の対象として捉えにくかった側面もあったものの,近年までに,痛みの発生や持続するしくみの詳細が次第に明らかになってきた.痛みが厄介なのは,疾患や傷害が治癒しても痛みだけが残る患者が多く存在することだが,この背景に「痛み」を伝達する神経そのものの異常や痛みの脳内記憶などがかかわってくることもわかってきた.痛みの緩和については,古くから痛い部分を押さえ圧迫する「手当」が有効であることが知られていたが,この現象は,太い圧触覚神経による刺激のほうが細い痛覚神経による刺激より感知されやすいという,ゲートコントロール理論等で説明されるようになった.また他者が行う「手当」やマッサージにより,絆ホルモンともいわれるオキシトシンが増加し疼痛の緩和に働くとする報告もある.
 疼痛の緩和については,新規薬剤の開発に加え,副作用や依存性をきたすことなく十分な疼痛緩和を得る方法が提唱されるようになり,また神経ブロックなど麻酔技術も長足に進歩した.これに加えて,鍼灸治療や心理療法なども積極的に診療に取り入れられている.
 われわれ産婦人科医も,陣痛や手術後の疼痛,がん患者の疼痛,慢性骨盤痛などへの対応を通じ,日々の臨床で患者の痛みに接しており,痛みをどのようにコントロールすればよいのかは切実な課題である.
 そこで本号では,痛みの発生機序や薬に関する注意点,慢性疼痛分類などの総論的事項にはじまり,産婦人科診療の場面で遭遇する「痛み」に対して多様な観点からエキスパートの先生方に論じていただくこととした.本号により痛みについての知識をアップデートし,患者の疼痛緩和に少しでも役立てていただけることを期待している.

(東海大学医学部専門診療学系産婦人科 石本人士)
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