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小児科診療 最新号

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雑誌「小児科診療」2022年 Vol.85 No.7 血液・腫瘍疾患,急ぐべきときは「今」

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掲載論文

序 文  /加藤元博

Ⅰ.血液・腫瘍疾患を疑う検査結果とその対応
白血球増多  /荒川ゆうき 
貧 血  /坂本謙一 
血小板減少の鑑別と対応  /関口昌央
凝固異常  /石原 卓 

Ⅱ.血液・腫瘍疾患発症時の症状とその対応
下肢麻痺  /山田悠司 
縦隔腫瘍  /林 健一郎 
腫瘍出血  /小松秀吾・他 
頭痛・嘔吐・ふらつき  /宇佐美憲一 

Ⅲ.血液・腫瘍疾患治療中の症状とその対応
腫瘍崩壊症候群  /森 麻希子 
感染症  /松井俊大 
悪心・嘔吐  /歌野智之 
疼 痛  /余谷暢之 
出 血  /小倉妙美 
膵 炎  /箕輪 圭・他 
神経合併症  /横須賀とも子 
眼合併症  /野村耕治 
抗腫瘍薬漏出  /松本幸男・他 
再 発  /加藤元博 

原 著
小児の非器質性胸痛60例の後方視的検討  /犬塚 幹・他 

症例報告
遷延する嘔吐,下痢の症状から溶連菌感染症の診断に至らず,リウマチ熱を発症した1例  /有村 萌・他 

ねらい

血液・腫瘍疾患,急ぐべきときは「今」
-oncologic emergencyを知ろう

加藤元博  /東京大学医学部附属病院小児科

 小児血液・腫瘍疾患は,白血病やリンパ腫などの造血器腫瘍や,神経芽腫や脳腫瘍などの固形腫瘍だけでなく,骨髄不全症や凝固異常などの非悪性血液疾患など,多様な疾患を含んでいます.ただ,これらの疾患はいずれもそれぞれの発症頻度は高くなく,実際に血液・腫瘍疾患の小児には頻繁に遭遇するものではありません.そのため,「血液・腫瘍疾患かも」という場面に苦手意識をもたれている方もいらっしゃるのではないでしょうか.
 小児の血液・腫瘍疾患は,発熱や疼痛,倦怠感などの非特異的な症状が慢性的に持続することで診断を疑うことが最も典型的です.しかし,状況によっては速やかに適切な対応が必要な「oncologic emergency(腫瘍緊急)」があります.さらにその反面で,良かれと思った対処によってむしろ状況を悪化させてしまうこともあります.このように状況を「把握」し,様々な可能性を「推測」し,判断をもとに「選択」し,そのことを「説明」することは小児医療のあらゆる場面に共通する手順であると思います.
 小児血液・腫瘍疾患は治療と研究の進歩により,長期生存率は大きく向上し,小児がんも「不治の病」ではなくなりました.そのため,「血液・腫瘍疾患かも」の小児に対して適切な初期対応を行い,診断と治療につなげることの重要性が増しています.また,診断後も,重篤な合併症をいかに回避し,計画通りの治療をできる限り実施することが治癒率を維持するためには必要です.
 血液・腫瘍疾患と診断された(もしくは,疑われた)患児に遭遇した際に,「慌てずに様子をみていいとき(経過をふまえて判断すべきとき)」と「急いで対応すべきとき」を判断し,「すべきこと」と「しないほうがいいこと」を取捨選択するための基本的な知識は広く小児科医にとって役に立ちます.外来でのファーストタッチだけでなく,当直などの場面でも経験する様々な場面のoncologic emergencyについて,どのような手順で鑑別・対処をすることが望ましいか,を知っていただくために本特集を企画いたしました.
 構成としては,まず,未診断の患児を想定して,血液・腫瘍疾患を疑い得る血液検査について「血液・腫瘍疾患を疑う検査結果とその対応」としてまとめ,さらに,血液・腫瘍疾患から起こり得る症状について「血液・腫瘍疾患発症時の症状とその対応」について取り上げました.次に,診断後を想定して,治療中の血液・腫瘍患者の対応について取り扱っています.いずれも,第一線で活躍中の先生にご執筆をいただくことができ,「今すぐに」現場で役に立つ充実した内容とすることができました.企画段階からご支援いただいた関係の方も含めまして,あらためて感謝申し上げます.
 本特集が,困難に立ち向かう子どもたちの一助となれば嬉しい限りです.さらには若手医師の「血液・腫瘍疾患は難しそう」の食わず嫌いの改善をもたらし,この領域への興味につながることも期待しています.
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