株式会社 診断と治療社

小児科診療 最新号

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  • 「増刊号」を年2冊、「特大号」を年1冊発行.読者の厚い信頼に応える内容で日常診療に不可欠な情報満載.

雑誌「小児科診療」2022年 Vol.85 No.10 食物アレルギー

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掲載論文

序文  /高増哲也

Ⅰ.食物アレルギーガイドライン
食物アレルギー:最近の考え方  /海老澤元宏
食物アレルギーの疫学  /今井孝成
食物アレルギーの発症予防  /犬塚祐介・他
離乳食のすすめかた 食物アレルギーの視点  /川口明日香・他
消化管アレルギーと関連疾患  /山田佳之
花粉-食物アレルギー症候群  /猪又直子

Ⅱ.抗原からみた食物アレルギー
食品に含まれるアレルゲン量  /伊藤浩明
鶏卵・牛乳・小麦アレルギー  /堀向健太
魚卵アレルギー  /小林茂俊
ピーナッツアレルギー  /福家辰樹
ナッツ類アレルギー  /安戸裕貴

Ⅲ.社会で支える食物アレルギーの生活
食物アレルギー:「食べる」ということを根本から見なおしてみる  /高増哲也
コミュニケーションにおける困難感―食物アレルギー児を養育する視点から―  /中根みちる
食物アレルギーのQOL 本村知華子
食物アレルギーと学校生活  /西本 創
食物アレルギーの栄養サポート  /関澤 藍
アレルギー児サマーキャンプにおける管理栄養士の役割  /川嶋千尋・他
食物アレルギー児の生活を社会で支えるしくみ  /貝沼圭吾

症例報告
RSウイルス感染に続発した発作性寒冷血色素尿症の1例  /藤井聡子・他
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で肝障害を呈した乳児の2例  /德本惇奈・他

ねらい

食物アレルギー 
「食べる」ということを根本から見なおしてみる

高増哲也  神奈川県立こども医療センターアレルギー科

 食物アレルギーは,本来は生体にとって必要な食物に対して,免疫反応を引き起こす現象です.これまでは原因をつきとめて,その食物を除去することが対応の中心でしたが,最近では安全に摂取できる条件を確認して,その範囲内で食べることがすすめられており,そういった食事にすることによって,食物アレルギーを克服することにつながる場面もみられるようになってきています.
 そこで本特集では,まず最新のガイドラインの要点について紹介していただきました.冒頭では,食物アレルギーについての最近の考え方として,これからはどういう方向に向かっていくのか,いくべきなのか,世界の趨勢を紹介したうえで,指針を示していただいています.そして,新しい疫学データについての解説,発症予防のためにいつ頃からどう食べていけばよいのかについて,わかってきていることや,乳児期の離乳食のすすめ方については,最新の情報に基づいてどうアドバイスすべきなのかの解説があります.消化管アレルギーは近年よくみられるようになっているものの,診断と対応に苦慮しやすいため,その考え方についても示していただきました.花粉症と果物や野菜の食物アレルギーについてもその関連性について論じていただいています.
 次に,それぞれの食物に対して,原因となっているタンパク質が同定されつつあるなか,抗原から食物アレルギーを捉え,アレルゲン量に注目した対処法について考えていきます.食物を制限したり摂取したりするうえで何に気をつけていくべきなのか,原因として頻度の高い鶏卵・牛乳・小麦を筆頭に,近年増加傾向にあり,注目度の高まっている食品,魚卵やピーナッツ,ナッツ類を中心にその対処法も含めて解説していただいています.
 それらの基礎知識と最新の情報をふまえ,本特集のメインテーマとして,「食べる」ということをあらためて根本から見なおしてみることとさせていただきました.食べることは日常そのものですので,その主役はあくまでも当事者です.そこで当事者からは,食物アレルギー児を養育する視点と教育学の立場から,コミュニケーションにおける困難感を論じていただいています.さらに,食物アレルギー児の生活を社会全体で支えるために,QOL,学校生活,栄養サポートの面から解説をしていただきました.アレルギー児サマーキャンプの実施においては,管理栄養士の役割が大きく,その実際を紹介していただいています.最後に社会的制度の進歩を紹介していただいており,生活そのものを支えるしくみができつつあることをみることができます.
 食物アレルギーを疾患として捉えつつ,生活を支える視点でも対処法を考えるきっかけとしてお読みいただければと思います.
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