2089自閉症かな?と思ったとき
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 行8歩身体的なぎこちなさはAsperger障害でしばしば認められます.Asperger障害児は不器用で協調運動が苦手で,大げさな歩き方や弾むような歩き方に見えることがあります.たいていの場合,ボールをつかんだり外遊びの遊具にのぼるといったような粗大運動スキルの遅れや,歯を磨いたりシャツのボタンをとめたり,字を書いたりするような微細運動スキルに遅れがみられます.79問題のある歩き方図8-4 成熟した子どもの歩行図8-3  踵で地面をとらえるいったように,以前の状態に戻ってしまう子どももいます. 定型発達児でも,歩きはじめは非対称な歩き方をすることがあります.たとえば,片方の足は踵から接地しているのに,もう片方はつま先から踵まで足底全体で接地することもあります.また,腕を非対称に動かす場合もあります.しかし定型発達児では,発達が逆戻りすることも,動きが非対称であることも数日のうちに修正され,すぐにスムーズで対称的な歩行ができるようになります. Chapter 7で述べたように,ひとりで座ることができるようになるには体内のバランスシステムである前庭系の成熟が非常に重要です.そして赤ちゃんが直立して歩けるようになるためにも,このシステムが重要であることは容易に理解できると思います.動きをモニターし運動活動の協調を助ける固有受容覚系は,足が地面につく感覚を得るのに必要な触覚系と同様,重要な役割をはたしています(このシステムについての詳細はp.38参照).立つことと歩くことができるようになると,これらの動きのそれぞれの要素が統合され,歩行は自動的になり,赤ちゃんは周囲を自由に探索できるようになります. 定型発達児が,断片的で歩行要素がばらばらのたどたどしい足取りからスムーズで統合された歩行へとどのように発達していくのか,理解してい子どもの歩行がさらに発達すると,前に出した足の踵が地面をとらえる前に後ろの踵が少し上がります.腕はより低いところに位置し,足運びに合わせて動かされます赤ちゃんはある時点で,足底全体ではなく踵で地面をとらえるようになります.この小さな動きの変化がスムーズで協調的な足運びにつながります

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