2089自閉症かな?と思ったとき
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お座り69図7-3  パラシュート反射のある子ども図7-4  パラシュート反射のない子ども定型発達児は倒れるときに反射的に頭や胸をかばうために腕を伸ばしますパラシュート反射のない子どもが倒れると,腕は倒れる前と同じ位置で,自分の身を守ることができませんら,われわれの研究では,赤ちゃんの一部に,本項で述べたような発達を遂げない児がいることがわかりました. 後に自閉症やAsperger障害と診断される子どもの多くが,生後6か月時にひとりで座ることができないことがわかりました.また,座位をとることのできる自閉症やAsperger障害の赤ちゃんの多くは,定型発達児に比べると直立姿勢を維持することができず,転びやすいことが知られています.さらに定型発達児と異なり,これらの赤ちゃんはパラシュート反射を示しません.パラシュート反射は,歩き始める前に出現します.定型発達児は,転倒しそうになると床に胸や頭を打ちつけないよう自分の腕を前方に伸ばし,頭をわずかに垂直に傾けるようなパラシュート反射が現れます(図7-3).しかし,後に自閉症やAsperger障害と診断される子どもは,転倒時でも腕や頭を元のままの姿勢に保ち,顔をぶつけてしまうことがあります(図7-4).これはまるで,赤ちゃんが前に倒れていることに気づいていないように見えます. Asperger障害や自閉症の子どもは,p.66~67で述べられているように,身体バランスの制御システムである前庭系に問題があるようです.これは7

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