2420CBRNEテロ・災害対処ポケットブック
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6 中毒182 中毒とは,化学物質や自然界に存在する物質の毒性によって生じた生体の有害反応をいう(日本救急医学会).中毒を起こす危険性のある物質は,数十万種類存在するといわれているが,CBRNEテロ・災害を起こす可能性のある物質は限られる.生物剤テロに使用される可能性のある毒素として,ボツリヌス毒素,リシン,黄色ブドウ球菌エンテロトキシン,トリコセシンマイコトキシン,サキシトキシン,アフラトキシンがあげられている.また,化学剤テロとしては,サリン,タブン等の神経剤,シアン化合物等の血液剤,ホスゲン,塩素,クロルピクリン等の窒息剤,マスタード,ルイサイト等のびらん剤が重要な物質となる.しかしながら,もっと身近な農薬,工業用品がテロに使用される可能性もあり,一般的な中毒の知識も重要となる.生物剤,化学剤の詳細に関しては,生物剤・化学剤の項にて解説しているので,ここでは一般的な中毒起因物質の対応と治療の基本について述べる.□ 対応の基本①以下の状況を見た場合は毒劇物を疑う.・同一場所,同一時期,同一症状の多数傷病者発生.・動物,鳥,魚,植物の死や変化.・テロ予告(意図的散布).・原因不明のショック,意識障害,神経症状,嘔吐,下痢,皮膚症状の発生. 注: 生物剤は散布直後には無症状で気づかれない場合も多く,多様な形で発症後判明することが多い.②二次災害を防ぐために,以下を考慮する.・避難の必要性.・個人防護具の必要性.・除染の必要性.・ゾーニングの必要性.中毒6

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