2553脳血管内治療トラブルシューティング 脳動脈瘤編 改訂第2版
3/8

4実際の治療手技と経過Ⅱ マイクロカテーテルトラブル図3 実際の治療(a:DSA画像,b:live画像)マイクロカテーテルの瘤内での安定性は不良で,Pcomを温存しつつ下方成分にフレーミングコイルを分布させるのは困難であった.そこで,一次コイル径の太いコイルを用い,まず後方成分のみのフレーミングを行った.ab本症例は高齢者の中型・ワイドネックのIC-Pcom動脈瘤であり,シンプルコイリングのみでは長期での再発リスクも懸念されるが,ネックブリッジステントを併用しても,Pcom閉塞のリスク,長期的な再発リスクの低減にはあまり有効でないと考えられた.初回治療戦略としてステント併用は極力避け,コイルアシスト法で塞栓することとした.マイクロカテーテルを安定しやすい後上方の成分に留置し,Target XL 360 Soft 6mm×20cmで,Pcom起始部を温存したフレーミングを行った(図3).このコイルを障壁とし,マイクロガイドワイヤー,マイクロカテーテルを瘤下方に誘導した(図4).フレーミングを崩さぬよう,下方成分には新たに軟らかいコイル(i-ED Silky Soft 3.5mm×8cm)でフレームを作成し,3個のコイルでpackingして,下方が十分tight packingとなった時点でマイクロカテーテルを後上方成分のフレーム内に再留置し,こちらの成分についても十分と考えられるpackingを得た.Pcomは良好に温存された(図5).❻コイルアシストで塞栓する2コブ型の場合,コイルの分布しやすいコンパートメントで形状保持の強いコイルを用い,まずフレーミングを行い,このコイルの物理的障壁を利用して,マイクロカテーテルをもう一方の成分に誘導,安定させる方法である.一次コイル径の太いコイル(Target XLや,Axium Prime Frame)などを用いることで,フレームを崩すことなく,マイクロカテーテルが不安定となりやすいコンパートメント側への誘導,塞栓中の固定が得られる.Ⅱ マイクロカテーテルトラブル55

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る