2561不随意運動の診断と治療 改訂第3版
9/10

頭筋の収縮によって引き起こされる.複雑性運動チック(動画 9-5)は,持続時間がより長く(すなわち数秒間),頭の回転と肩すくめが同時に起こるような単純性チックの組み合わせをしばしば含んでいる.複雑性チックは,チック様の性的または卑猥な身振り(汚行),または誰かほかの人の運動チック様のまね(反響動作)のように,合目的的にみえる可能性がある.同様に複雑性音声チック表1チック症候群/チック障害群(Tic Disorders)のDSM-V分類307.23(F95.2)トゥレット症/ トゥレット障害A. 多彩な運動チック,および1つまたはそれ以上の音声チックの両方が,同時に存在するとは限らないが,疾患のある時期に存在したことがある.B. チックの頻度は増減することがあるが,最初にチックが始まってから1年以上は持続している.C. 発症は18歳以前である.D. この障害は物質(例:コカイン)の生理学的作用または他の医学的疾患(例:ハンチントン病,ウイルス性脳炎)によるものではない.307.22(F95.1)持続性(慢性)運動または音声チック症/ 持続性(慢性)運動または音声チック障害A. 1種類または多彩な運動チック,または音声チックが病期に存在したことがあるが,運動チックと音声チックの両者がともにみられることはない.B. チックの頻度は増減することがあるが,最初にチックが始まってから1年以上は持続している.C. 発症は18歳以前である.D. この障害は物質(例:コカイン)の生理学的作用または他の医学的疾患(例:ハンチントン病,ウイルス性脳炎)によるものではない.E. トゥレット症の基準を満たしたことがない307.21(F95.0)暫定的チック症/ 暫定的チック障害A. 1種類または多彩な運動チックおよび/ または音声チックB. チックの持続は最初にチックが始まってから1年未満であるC. 発症は18歳以前であるD. この障害は物質(例:コカイン)の生理学的作用または他の医学的疾患(例:ハンチントン病,ウイルス性脳炎)によるものではない.E. トゥレット症または持続性(慢性)運動または音声チック症の基準を満たしたことがない注:チックとは,突発的,急速,反復性,非律動性の運動または音声である.表2チックの症候学的分類運 動 性発  声感 覚 性単純性チック頻回の瞬目眼瞼痙攣眼しかめ口とがらし開口首振り肩すくめ手の握り動作鼻鳴らし喉鳴らし咳払い叫び声うなり声咳うめき声鼻歌灼熱感硬直感筋緊張感じんじん感かゆみ衝動感複雑性チック頭部のねじり,振戦つばを吐く殴打(自己または他者)ジャンプ,蹴飛ばしうずくまり骨盤,腹部の突き出しあえぎげっぷ吃音反響言語汚言同語反復精神緊張感痛み症候群前駆的出現労作性チック抑制に続発幻覚・幻想(phantom tics)動画9-5199第11章 チ ッ ク

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る