2589こどもの呼吸のコモンなギモンに答える本
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気管支炎,肺炎(百日咳・COVID呼吸器感染症12―Q020重要度★★☆1) Gottlieb RL, et al.:N Engl J Med 2022;386:305-315[PMID:34937145]2) Spinner CD, et al.:JAMA 2020;324:1048-1057[PMID:32821939]3) Zhu F, et al.:Curr Infect Dis Rep 2022;24:51-62[PMID:35431658]4) 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会:小児COVID-19軽症から中等症の治療フローチャート. 2023年2月20日一部改訂 https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/2023-2-20Covid-FC.pdf(2024.8. 19アクセス)5) Paolin C, et al.:Eur J Pediatr 2023;182:2089-2094[PMID:36912961]用をもつレムデシビルは,中等症以下のCOVID-19の症状改善に有効とされ,小児での投与例・症状改善例も報告されている1~4).デキサメタゾンは単独,あるいはレムデシビルとの併用で症状改善効果があると報告されている3).また,オミクロン株ではクループ症候群の合併例が多かったことから,他疾患でのクループ症候群合併例と同様,デキサメタゾン吸入・内服,アドレナリン吸入などが行われている.頻度は低いものの,中等症~重症の呼吸器症状を呈する場合や,重症化リスクの高い基礎疾患(Q020参照)を有する場合,無呼吸発作を合併する新生児・早期乳児例5)などでは,小児集中治療室において人工呼吸器管理を要する場合もある.以上のように,小児のCOVID-19の呼吸器症状に対する治療の報告はあるが,現時点で有効性が確立している治療法はない.存在する.小児COVID-19の呼吸重症化において,多くの報告で高いリスク因子とされているのは肥満である1).メカニズムについては,内臓脂肪の蓄積が炎症の増強因子になる可能性などが指摘されている2).そのほかの基礎疾患として,先天性心疾患,神経筋疾患3,4),糖尿病5),低出生体重1,3)についても,複数の研究で重症化リスク因子とされている.またDown症候群も,合併する心疾患や社会経済的リスクを調整したのちも,COVID-19の重症化リスクであると報告されている6).一方,免疫不全状態や低月齢児のリスクについては,報告によって評価が分かれている1,3).気管支喘息については,当初,呼吸重症化のハイリスクであると考えられていたが,複数の研究でとくにリスク因子であるとはいえない19・結核)17文献小児のCOVID-19の呼吸重症化リスク因子は存在するのか?

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