11身体所見から考える呼吸数を正しく捉えるQ109役立ち度★★★1)BursteinDS,etal.:JPediatr2021;229:61-69.e5[PMID:32926876]2)大宮一人:日臨生理会誌2021;51:163-170[DOI:10.34363/jocp.51.5_163]3)吉川貴仁,他:日内会誌2012;101:1555-1561[DOI:10.2169/naika.101.1555]Cheyne-Stokes呼吸1回換気量が周期的に漸「不規則な呼吸」に関しては,呼吸パターンの異常なのか,パターン異常だけでなく呼吸数や1回換気量の異常も含めるかは成書により相違があり,明確な定義は定まっていない1,2).一方,臨床では,「介入を要するような呼吸・循環動態を伴う呼吸パターンの異常」と捉える場合が多い2,3).有名な例は,中枢神経障害によるCheyne-Stokes呼吸や持続吸息性呼吸(apneustic breathing),失調呼吸などがある( 表 ).また,乳児早期の感染症(RSウイルス感染症,百日咳,髄膜炎など)に伴う無呼吸や,早産児の無呼吸発作の多くも治療介入を要する呼吸状態といえる.これに対して,新生児~乳児期にみられる周期性呼吸は,呼吸パターンの不整や軽度の経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)低下はあるものの,治療介入を要することはまれで,病的なものとはみなされていない.また健常人の30%程度でも,睡眠時には10秒以下の無呼吸〔動脈血酸素分圧(PaO2)や動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)の変化を伴わない〕を認める4).このような呼吸パターンの「ゆらぎ」(多少の不規則性)は,生理的といえる.障害部位:皮質下・基底核脳の循環不全,頭部外傷,頭蓋内圧亢進高齢者や高地での睡眠時には健常人でも認める障害部位:橋脳底動脈閉塞,低血糖,髄膜炎障害部位:延髄背内側部延髄梗塞,Parkinson病,神経変性疾患88文献増・漸減する持続吸息性呼吸吸気相の最後に数秒間の呼吸停止が起こる呼吸回数・リズム・深さがまったく不規則な状態失調呼吸表 中枢神経障害によるおもな不規則呼吸「不規則な呼吸」の定義はあるのか?
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