1 ナトリウム代謝異常 Na濃度の規定因子 a +とKe+とKe 21水・電解質異常とその治療Na++K+ Na濃度異常を理解するうえで理解しておくべきEdelman式がある. Edelman式は,血清Na濃度と,体内に存在するNaイオン(Na+)の総量とKイオン(K+)の総量との関係を示している.ここで示すNa+とK+は,無水の骨基質に存在する固定されたイオンではなく,尿に排泄されるような動的なイオンである.これをEdelman式では+と略している.「交換可能な(exchangeable)イオン」とし,Nae 体内のNa+の7~8割がNae+であり,ほとんどが細胞外に存在している.一方,体内のK+の9割以上がKe+であり,ほとんどが細胞内に存在している.実際の臨床では,Na+とK+はNae+とほぼ同じと考えられる1). 体内に摂取される水・Na・Kと,排泄される水・Na・Kのバランスにより血清Na濃度が規定される.そのため,Na濃度異常では摂取(投与)される水・Na・Kに加えて,排泄される水・Na・Kも評価することが重要となる. 最近では,皮膚,骨,軟骨のプロテオグリカンに結合しているNaの移動による調節も示唆されている(図1-1)2). Na濃度異常は,脳細胞における障害を引き起こす(図1-2)2). 低ナトリウム血症 b 血清Na濃度≦135 mEq/L. 低ナトリウム血症はよくみられる病態であり,入院患者の10~30%で発生するといわれている. 低ナトリウム血症は,死亡率,入院期間,入院費用,集中治療室(ICU)の日数,再入院の増加と関連している. 急性で高度の低ナトリウム血症では,痙攣,永続的な脳障害,脳幹ヘルニアなど致死的であり3),重度の慢性低ナトリウム血症を急激 血清Na濃度(mmol/L)≒体内水分量(H2O)
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