第2章スコープ註 *1 :若年性皮膚筋炎および若年性多発性筋炎で筋電図の施行が難しい場合は,MRIでの筋炎を示す所見(T2強調/脂肪抑制画像で高信号,T1強調画像で正常信号)で代用できるものとする. *2 :ア)抗ARS抗体(抗Jo-1抗体を含む),イ)抗MDA5抗体,ウ)抗Mi-2抗体,エ)抗TIF1-γ抗体,オ)抗NXP2抗体,カ)抗SAE抗体,キ)抗SRP抗体,ク)抗HMGCR抗体. *3 :角質増加,表皮の萎縮(手指の場合は肥厚),表皮基底層の液状変性,表皮異常角化細胞,組織学的色素失調,リンパ球を主体とした血管周囲性あるいは帯状の炎症細胞浸潤,真皮の浮腫増加,ムチン沈着,脂肪織炎あるいは脂肪変性,石灰沈着などの所見のなかのいくつかが認められ,臨床像とあわせて合致するかどうかを判断する.7(6)骨破壊を伴わない関節炎または関節痛(7)全身性炎症所見(発熱,CRP上昇,または赤沈亢進)(8)筋炎特異的自己抗体陽性*2(9)筋生検で筋炎の病理所見:筋線維の変性および細胞浸潤2.診断のカテゴリー皮膚筋炎:18歳以上で発症したもので,(1)の皮膚症状の(a)~(c)の1項目以上を満たし,かつ経過中に(2)~(9)の項目中4項目以上を満たすもの.18歳未満で発症したもので,(1)の皮膚症状の(a)~(c)の1項目以上と(2)を満たし,かつ経過中に(4),(5),(8),(9)の項目中2項目以上を満たすものを若年性皮膚筋炎とする.なお,上記の項目数を満たさないが,(1)の皮膚症状の(a)~(c)の1項目以上を満たすもののなかで,皮膚病理学的所見が皮膚筋炎に合致するか*3(8)を満たすものは無筋症性皮膚筋炎として皮膚筋炎に含む.多発性筋炎:18歳以上で発症したもので,(1)皮膚症状を欠き,(2)~(9)の項目中4項目以上を満たすもの.18歳未満で発症したもので,(1)皮膚症状を欠き,(2)を満たし,(4),(5),(8),(9)の項目中 2 項目以上を満たすものを若年性多発性筋炎とする.3.鑑別診断を要する疾患感染による筋炎,好酸球性筋炎などの非感染性筋炎,薬剤性ミオパチー,内分泌異常・先天代謝異常に伴うミオパチー,電解質異常に伴う筋症状,中枢性ないし末梢神経障害に伴う筋力低下,筋ジストロフィーその他の遺伝性筋疾患,封入体筋炎,湿疹・皮膚炎群を含むその他の皮膚疾患.なお,抗ARS抗体症候群(抗合成酵素〈抗体〉症候群),免疫介在性壊死性ミオパチーと診断される例も,本診断基準を満たせば本疾患に含めてよい.〈重症度分類〉以下のいずれかに該当する症例を重症とし,医療費助成の対象とする.1)原疾患に由来する筋力低下がある.体幹・四肢近位筋群(頸部屈筋,三角筋,上腕二頭筋,上腕三頭筋,腸腰筋,大腿四頭筋,大腿屈筋群)の徒手筋力テスト(MMT)平均が5段階評価で4+(10段階評価で9)以下または,同筋群のいずれか一つのMMTが4(10段階評価で8)以下2)原疾患に由来するCK値もしくはALD値上昇がある.3)活動性の皮疹(皮膚筋炎に特徴的な丘疹,浮腫性あるいは角化性の紅斑,脂肪織炎*が複数
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