ケース紹介 ―運動器における身体診察×エコーの実際例― 手関節は可動に富む関節であり,状況によっては荷重(手をつく動作)ストレスを受ける.手関節痛の病態を推定するうえで最も重要であるのは身体所見であることは間違いないが,身体所見だけでは適切な治療につなげられないことがある. 今回,荷重時の手関節尺側部痛を呈した症例に対して,エコーガイド下注射により三角線維軟骨複合体(triangular fibrocartilage complex:TFCC)以外の構造由来の痛みであったことが明らかとなった症例を提示する.244身体所見 ■■歳代男性,体操選手. 右手関節尺側の痛みに対して前医でTFCCに対して注射(エコー不使用)を行うも無効であったため受診した. 荷重時の手関節尺側部痛が主訴であり,特に尺側へ荷重量を増加させると痛みが増強した(図1).Part 3はじめに症例20歳代男性右手関節尺側の痛み症例4身体診察手関節D
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