2618結節性硬化症に伴うてんかんの治療ガイドライン2025
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18第2章 疾患の概念と疫学・病態結節性硬化症とはどのような病気か要約1.結節性硬化症は全身の臓器に過誤組織・過誤腫が発生することにより生じる疾患である.2.TSC1,TSC2遺伝子の病的バリアントが原因である.3.臓器ごとで病的所見や症状を発現しやすい時期が異なり,包括的な診療を必要とする.疾患の概要結節性硬化症(TSC)はTSC1,TSC2遺伝子の病的バリアントにより,外胚葉もしくは中胚葉系の臓器(脳,眼,皮膚,心臓,腎臓,肺,口腔等)に過誤組織(生後増大しない)や過誤腫(増大する)を呈する神経皮膚症候群である 1).1880年に脳病理(皮質結節)と知的発達症・てんかんを合併した3症例を報告したBournevilleと,1890年に顔面血管線維腫について報告したPringleの名前を冠してBourneville-Pringle病ともよばれる 2).TSCでは各臓器の病的所見や症候は好発の出現,発症年齢が異なる.新生児や乳児期に発症する所見や症候は,早期診断において重要である.一方,生涯にわたって新規の病的所見や症候が出現しうるため,診断後は各年齢に応じた検査が必要である.近年,mTOR阻害薬であるエベロリムス,シロリムス(ラパマイシン)の国内保険適用がTSCおよびTSC合併症に対して追加され,新規の過誤腫の出現や増大を抑えることが可能となってきている.診療においては国際TSCコンセンサス会議が2012年,2021年に診断基準,全身検索,マネジメントの推奨を発表しており,総合的な診療の目安となっている 3, 4).また,国内外にTSCの総合外来が登場してきており,施設に集約した診療を行いやすくなってきている.2-1解説

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