34第3章 検査結節性硬化症の診療に有用な頭部画像検査は何か要約1.結節性硬化症における脳病変は,皮質結節,放射状大脳白質神経細胞移動線,上衣下巨細胞性星細胞腫,上衣下結節がある.2.これらの検索や変化の評価には,一般的に行われる頭部画像検査のなかでは頭部MRI画像を選択する.3.てんかんに関連の強い皮質結節はいくつかのサブタイプがあり,MRIの各撮像法を組みあわせて評価する.4.上衣下巨細胞性星細胞腫は,増大すると水頭症による死亡リスクのある病変であり,25歳頃までは定期画像評価を行う.TSCの病変全体について結節性硬化症(TSC)における脳病変には皮質結節,放射状大脳白質神経細胞移動線,上衣下巨細胞性星細胞腫(SEGA),上衣下結節(SEN)があげられる.皮質結節は実際には皮質下にも及ぶ結節である.2,093人のTSC患者を集計したTuberOus SClerosis registry to increase disease Awareness(TOSCA)のレジストリ研究では,それぞれの発生率は皮質結節が82%,放射状大脳白質神経細胞移動線が21%,SEGAが24%,SENが78%となっている 1).2021年に国際TSCコンセンサス会議が発表したUpdated International Tuberous Sclerosis Complex Diagnostic Criteria and Surveillance and Management Recommendations(以下,ITSC-CGの推奨)において,TSCを疑った例は,年齢に関係なく頭部MRIを行うべきであるとしている 2).MRIの利用できない環境では,CTや超音波検査(大泉門が開いている乳児まで)が代替されるが,解像度や検索範囲が限定されるため詳細な評価には不向きである 2).CTは皮質結節,SEGA,SENにおける石灰化を見つけやすいが,石灰化病変自体の病的意義は乏しい.早期の病変発見はTSCの早期診断につながり,意義が大きい.胎児超音波検査や胎児MRIにおいても,大半の例では皮質結節やSEGA,SENを見つけることができる 3, 4).3-1解説
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