2618結節性硬化症に伴うてんかんの治療ガイドライン2025
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第3章 検査35Słowińskaらの研究では生後4か月以内に診断に至ったTSCの例では,頭部MRIによる病変の発見が74%例において確定診断の決め手となったとしている 5).皮質結節について皮質結節はてんかんの発生と関連の深い病変であり,病理的にはFCD IIbに類似している 6).皮質結節の周囲の皮質組織または皮質結節内部がてんかん原性を有し,てんかん外科の皮質切除手術の範囲決定において重要である 7, 8).また以下に示すように,皮質結節の程度は,ある程度てんかんを含む神経学的予後の推測に役立つ.1. MRIについてMRI画像では,FLAIR像において高信号の皮質および皮質下にまたがる病変として出現し,大きさは皮質内に収まる小さいものもあれば,脳葉レベルで広がり,深部白質から側脳室に接するものもある.またT2強調像・FLAIR像において結節の直下から側脳室に向けて放射状大脳白質神経細胞移動線が高信号の線状病変として認める.いくつかの論文では,Type A:T2強調像とFLAIR像にて高信号,T1強調像にて等信号,拡散変化なし,Type B:T2強調像とFLAIR像にて高信号でT1強調像で低信号,拡散増加,Type C:T2強調像で高信号,FLAIR像でrimがあり中心低信号,T1強調像にて低信号,拡散増加の3種類に分ける方法が採られている 9, 10).また,結節内が髄液と等信号になる病変分類 11, 12)をシスト状病変と定義する文献(これはType Cのうち,より構造異常が強い病変と考えられる)や,皮質側に広く一塊に分布し側脳室まで連続するものをびまん性病変と呼ぶ文献もある 12).皮質結節と神経学的予後についての検討もなされてきており,Dohertyの研究では皮質結節の個数とてんかんおよび発達の重症度は相関するとしているが 13),実際に皮質結節はサイズの差が大きいため,その後の研究では結節全体の個数と神経学的予後の相関については否定的である 10, 14).皮質結節の体積についてFLAIR像の高信号領域を結節とみなしたJansenの研究では,結節の大脳に対する体積比がてんかん発症の早さと発達の遅れとの相関を示している 14).Type Bの結節の数,総面積とてんかんの早期発症の相関や 10),Type A病変が主体の個体は神経学的予後がよく,Type C病変主体ではSEGAの発生,乳児てんかん性スパズム症候群(IESS)の発症,てんかん発作の頻度の高い傾向にある.シスト状病変の出現や個数の多さは,TSC2遺伝子病的バリアント,IESSの発症,てんかんの発症,薬剤抵抗性てんかん(DRE)となること,重度の発達の遅れと相関する 12, 15).びまん性病変の存在はIESSの発症や重度の発達の遅れと相関する 15).また,皮質結節の出現部位とてんかんに関する研究としては,結節の周囲に脳波や脳磁図においててんかん性放電を認めることや 16),結節が頭頂葉下部,中前頭回,中側頭回,中心回付近にある場合はてんかん原性を持つことが多いことが報告されている 17).皮質結節の多い患者や熱性けいれんを経験した患者では,海馬形態の異常や海馬硬化が認められる傾向がある 18).

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