80Note. Chapter 1 てんかん or Not ―Neurologyの選球眼―てんかん診療に強くなる レム睡眠行動障害(RBD)があればパーキンソン病をチェックする てんかんとの鑑別で重要なRBDですが,このRBDはパーキンソン病などのαシヌクレイノパチーの運動症状が出現する前の前駆症状としてみられることがあります.認知症やパーキンソン症状のない特発性のRBDの症例をフォローすると,その後6年以内で44%,10年以内に68%の患者で神経変性疾患を発症したことが明らかになりました6).特に高齢でのRBDではこれらの発症リスクがあります.50歳以上を一つの目安として,RBDがある場合にはパーキンソン病,レビー小体病,多系統萎縮症がないかフォローが必要です.神経学的診察にて,動作緩慢などのパーキンソニズムがないかフォローし,運動症状がなくても,嗅覚低下や便秘などパーキンソン病で認めやすい非運動症状もスクリーニングするとよいでしょう.一方で近い将来ではαシヌクレインの経時的な蓄積がPET-CTなどにより可視化できるようになるかもしれません7).一方の若年でRBDを認めるケースでは,神経変性疾患以外を鑑別に入れます.特に亜急性の経過であれば自己免疫性脳炎(Caspr-2抗体,LGI-1抗体関連)が鑑別となります8).また若年者でかつ日中の過眠を伴うようであれば,ナルコレプシーに合併する特発性RBDの可能性があります.特に,情動脱力発作を認めるナルコレプシータイプ1との関連が強いとされます9).それ以外には,脳幹部の器質的疾患(多発性硬化症,血管炎,腫瘍など)でもRBDを呈する場合がありますので,画像異常を伴う場合にはその所見に応じて幅広い原因検索が必要になるでしょう.
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