2641小児の咳嗽診療ガイドライン2025
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12345 第 5 章 おもな疾患131表5-9 急性喉頭蓋炎とウイルス性クループの鑑別図5-10  急性喉頭蓋炎の喉頭ファイバースコピー画像 ウイルス性クループ発症は比較的漸進的である犬吠様咳嗽が特徴的喉頭蓋は紅斑形成性である頸部X線所見は声門上部の狭窄(塔状)および正常な大きさの喉頭蓋を示す図5-11 急性喉頭蓋炎の頸部側面X線画像腫脹した喉頭蓋(thumb printing sign,)と咽頭腔の拡張を認める文 献 1) Ishiwada N, et al. The incidence of pediatric invasive Haemophilus influenzae and pneumococcal disease in Chiba prefecture, Japan before and after the introduction of conjugate vaccines. Vaccine 2014;32:5425-5431 2) Epiglottitis(Supraglottitis):The Merk Manual http://www.merckmanuals.com/professional/ear_nose_and_throat_disorders/oral_and_pharyngeal_disorders/epiglottitis.html?qt=epiglottis & alt=sh 3) 小児呼吸器感染症診療ガイドライン作成委員会.小児呼吸器感染症診療ガイドライン2011.協和企画,2011;19-22 4) 石和田稔彦,新庄正宜(監),小児呼吸器感染症診療ガイドライン作成委員会.小児呼吸器感染症診療ガイドライン2022.協和企画,2022;55-57急性喉頭蓋炎発症は急性かつ劇症であるインフルエンザ菌b型(Hib)ワクチン接種を受けていない乳幼児好発年齢は6~36か月犬吠様咳嗽はまれ喉頭蓋は浮腫が顕著でチェリーレッド色を呈する頸部X線所見は腫大した喉頭蓋(親指状)および下咽頭の拡張を示す腫脹した喉頭蓋による気道閉鎖を認める●対応のポイント● 原因菌の検査のため,声門上部の組織培養および血液培養を行う. 頸部側面X線では腫脹した喉頭蓋が親指状にみえるthumb printing signと咽頭腔の拡張を認める(図5-11). 十分な酸素化が必要で,気道確保が最優先となるため,気管挿管を躊躇しない. 緊急気管切開が必要になることもあり耳鼻科も含めて対応可能な施設での治療が望ましい. 重症度とH. influenzaeの耐性状況を考慮して,セフトリアキソンナトリウム水和物(CTRX)(40 mg/kg/回,静注,1日2回),セフォタキシムナトリウム(CTX)(50 mg/kg/回,静注,1日3回),メロペネム(20 mg/kg/回,点滴静注,1日3回),タゾバクタム/ピペラシリン(TBPM-PI)(112.5 mg/kg/回,点滴静注・静注,1日3回)などの抗菌薬を用いる4). Hibワクチンで予防できる.肺炎球菌結合型ワクチンとともに,生後6か月までに3回接種が完了するよう,生後2か月からの接種がすすめられる.カラー口絵5治 療①ワクチンで予防できる疾患の一つで,生後2か月からの五種混合ワクチン接種をすすめる.②ワクチン未接種や未完了で本症が疑われる場合は気道確保を最優先に,耳鼻科医の協力を得ながら診断・治療を行う.

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