約 500 出生に 1 人と比較的多い疾患である.口唇裂を伴うもの(口唇裂のみ,口唇裂+口蓋裂)と伴わないもの(口蓋裂のみ)は発生機序が異なる.頻度は口唇裂,口唇裂+口蓋裂,口蓋裂がそれぞれ約 1/3 である. 約 70%が合併奇形を伴わない孤発例で,口唇口蓋裂の多くは左右のどちらかが片側性であり(図1A,B),その場合は孤発性が多い.口唇裂を正中や両側に認める場合(図 1C,D)や口蓋裂単独例では合併奇形を伴うことが多く,染色体疾患(13 トリソミー,18 トリソミー)や遺伝性疾患(Gold-enhar 症候群,Pierre Robin 症候群,Spitzen 症候群,Stickler 症候群)などの原因が多い.孤発性の口唇口蓋裂は多因子遺伝であり,親や同胞に罹患を認めた場合は再発率(罹患率)が数%上昇する. 口蓋裂を出生前に通常の臨床で評価することは難しく,口唇裂などの異常所見が指摘された際に精査として評価するのが一般的である.・冠状断面により容易に口唇の観察は可能である・口唇裂を認めた場合は病変の部位(左右,正中)を評価する・その他の合併奇形の有無を精査する 顔面裂,羊膜索症候群など.・口唇口蓋裂では孤発例か合併奇形を有するかの評価が重要である.・口唇裂を正中や両側に認める場合,口蓋裂単独の症例では合併奇形を伴うことが多い.68■疾患 Summary ■超音波所見■鑑別疾患 ■ポイント 第 2 章 部位別観察ポイント顔 面(室本 仁)322 口唇口蓋裂(唇顎口蓋裂)
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