●精査のポイント●スクリーニングのポイント 左心低形成症候群は,左室や左室流出路の発達不良により左室の低形成をきたし,左室機能が障害される疾患である.僧帽弁,大動脈弁の形成不全を伴う. 重症大動脈弁狭窄症(aortic stenosis:AS)から左心低形成症候群へ移行する症例も存在する.左心低形成症候群において卵円孔の状態は重要であり,卵円孔狭窄・閉鎖の場合は出生直後から緊急治療を要する.卵円孔狭窄・閉鎖の評価は肺静脈ドプラ波形で行う.・ 四腔断面で左室が非常に小さい(右室に比べ横径,長軸径ともに非常に小さい),左室腔がほとんどみえない場合もある(ただし,重症 AS では妊娠中期に左室が拡大していることがある)・僧帽弁の弁輪が非常に狭いか閉鎖・大動脈が細い・卵円孔の血流方向:左房から右房へ血流が流れる・卵円孔狭窄・閉鎖・肺静脈のドプラ波形・三尖弁逆流 AS,ほかの単心室型の心疾患. 左心低形成症候群は,Norwood 手術で大動脈を形成し,その後 Glenn 手術,Fontan 手術を最終目標とする単心室型の心疾患である.胎児期には卵円孔狭窄・閉鎖や三尖弁逆流を併発すると予後不良のため,胎児期からの病態の把握が重要である.90■疾患 Summary ■超音波所見(図 1,2)■鑑別疾患 ■ポイント 第 2 章 部位別観察ポイント心 臓(和田誠司)611 左心低形成症候群
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