2642胎児エコー実践ガイド
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 臍帯付着部右側の腹壁全層の欠損により,腹部臓器が腹壁外へ脱出し,羊水腔内に浮遊する.臍帯ヘルニアとは異なり,ほかの合併疾患を有することは少なく,染色体疾患との関連はない.消化管閉鎖,狭窄,腸軸捻転,穿孔,虚血などを合併する場合があり,予後に影響する. 腹腔内の腸管拡張や羊水過多を伴う場合に消化管閉鎖を合併している場合が多い.30~40%前後に胎児発育不全(FGR)を合併するが,腹部臓器の脱出のため腹部周囲径が小さくなり正確な評価が妨げられる.・臍帯付着部の右側から臓器が脱出する(図 1,2)・腹部周囲径は小さく FGR を合併する・腹腔内の腸管拡張や羊水過多を伴う場合は消化管閉鎖の合併を疑う(図 3)・胃胞の拡張や腹腔外脱出の有無を評価する(図 4)・臍帯ヘルニア:ヘルニア囊が破裂した場合,同様の画像を呈することがあり鑑別が難しい.腹壁破裂の場合は,正常な腹壁から臍帯が出ており,肝臓が脱出することは少ない.臍帯ヘルニア囊破裂の場合,臍帯付着部は羊膜上であり臍帯血管は破裂した囊に沿って走行している.・limbbodywallcomplex.・総排泄腔外反症. 妊娠後期に胎児機能不全(non—reassuring fetal status:NRFS)がよくみられ,子宮内胎児死亡(intrauterine fetal death:IUFD)が起こる例もある.胃胞の異常所見(異常拡張や位置異常)とIUFD の関連が指摘されている.また胃胞の体外への脱出と NRFS の関連も報告されており,妊娠後期には超音波検査と胎児心拍数モニタリングによる経時的な評価を行うことが重要である.118■疾患 Summary ■超音波所見■鑑別疾患 ■ポイント 第 2 章 部位別観察ポイント腹 壁(杉林里佳)722 腹壁破裂

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