■第4章 ベイズ流臨床研究3■ アダプティブ群逐次デザイン■中間解析を逐次行う群逐次デザインにベイズ更新の考え方が取り入れられます.■ベイズ流手法のおもな利点は,将来の効果が得られる確率の予測が可能なことです.POINT1581.群逐次デザインとは群逐次デザイン(group sequential design)は,被験者を異なる治療または介入を行ういくつかの群に割り当て,データの蓄積とともに逐次的に中間解析を行い,中間解析の結果に基づいて安全性,有効性,無益性(早期中止)の決定を行う臨床試験のデザインの1つです(図4-21).群逐次デザインに加えてサンプルサイズの再調整・試験デザインやプロトコルの調整または変更・投与量や治療期間の再調整を可能とした,アダプティブな群逐次デザインが近年では用いられます1).2.群逐次デザインはどのような場合に用いられるか何回も中間解析を実施し評価を行うため,有効性と安全性の評価・最適投与量の特定などにおいて迅速な意思決定ができる可能性があります.少数の被験者で試験が終了できることや研究のコストや時間を節約できることから,臨床試験の第II相試験に適しています.さらに,第1段階として第II相試験を行い,劣った群を脱落させ,第2段階の第III相試験に進むといった,同時期に第II相と第III相を行うある種の第II/III相シームレス臨床試験(図4-22)にも群逐次デザインは応用されます2,3).3.群逐次デザインにベイズ流手法が用いられる利点ベイズ更新によって観測データから結果(事後確率)を即座に計算するベイズ統計手法は,そもそも中間解析を逐次行う群逐次デザインによくあうといえます.また,ベイズ流手法のおもな利点は,将来の観測についての予測が可能なことです.特に群逐次デザインについては,治療の割り当て数と結果において考えられうる場合を想定して計算することでシミュレーションを行い,シミュレー
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