2654新生児感染症マニュアル
6/10

122は,エンテロウイルスなどの垂直感染や水平感染が原因の髄膜炎がみられることがある. 脳膿瘍二次性の場合には,敗血症や髄膜炎と同じ原因微生物のことが多い.まれに消化管系の起因菌による混合感染がある. 初期治療頻度の高いGBSと腸内細菌を想定して治療を開始されることが多い.GBSはペニシリン系に感性で,セファロスポリン系でも効く.一方,大腸菌など腸内細菌はペニシリン系に耐性のものが多く,髄液移行性のある広域スペクトラムの第3世代以上のセファロスポリン系,カルバペネム系の抗菌薬を選択する.リステリア菌をカバーする場合には,アンピシリンを使用する.髄液のGram染色や細菌PCRの結果が判明していると,ある程度,抗菌薬選択の想定を行いやすい. 最終治療GBS髄膜炎  髄膜炎量のアンピシリン+ゲンタマイシン(ゲンタマイシンは血液培養陰性化などで終了)で計14~21日間を使用する.大腸菌髄膜炎  感受性のある髄液移行性の薬剤(アンピシリン,セフォタキシム,メロペネムなど)を,髄膜炎量で計21日間を使用する.脳膿瘍     感受性のある髄液移行性の薬剤を,髄膜炎量で使用する.膿瘍のサイズが大きい場合には,外科的ドレナージを併用する.治療反応は,原則,画像的に膿瘍の縮小・消失を確認する.一般に,計6~12週間程度の抗菌薬治療が必要で,反応をみながら適宜,延長する.b03抗菌薬の選択とおもな原因菌の治療期間は?aアンピシリン+セフォタキシム想定菌GBS,腸内細菌,リステリア菌メロペネム+バンコマイシン想定菌GBS,薬剤耐性の腸内細菌,耐性のGram陽性球菌・桿菌12処方例b

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る