2654新生児感染症マニュアル
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123中枢神経系感染症6 髄膜炎を疑う場合血液培養に加えて,髄液検査で髄液細胞数,髄液蛋白,髄液糖と,髄液培養を行う.細菌性髄膜炎では,髄液細胞数と髄液蛋白の上昇,髄液糖の低下がみられるが,病初期には変化が起きていないこともあるので,診断は髄液培養で生えないかの最終確認をする.Gram染色は,遠沈して行うとよい.髄液細菌迅速検査,髄液多項目PCR検査を採用している施設は追加する.治療経過が思わしくない,耐性菌が検出されたなどの場合は,髄液培養の陰性化を確認するため,髄液Re□tapを考慮する. 脳膿瘍を疑う場合造影CTまたは造影MRIを考慮する.外科的に膿瘍をドレナージする場合,通常の細菌培養に加えて,嫌気ポーターで嫌気培養も提出する.04必要な検査は?ab生後5日,男児,正期産[現病歴]産科施設で発熱,哺乳不良,嘔吐がみられ,NICUに転院.[身体所見・検査所見]新生児発熱としてフルワークアップしたところ,髄液細胞数5,000 個/µL,髄液蛋白120 mg/dL,髄液糖10 mg/dLで髄膜炎が疑われた.Gram染色では,連鎖状のGram陽性球菌が確認された.本症例のアプローチ髄膜炎量のアンピシリン,セフォタキシム,ゲンタマイシンで治療を開始.血液培養と髄液培養からGBSが検出され,後日,Ⅲ型と判明した.GBSの感受性判明後,アンピシリン,ゲンタマイシンにde-escalationし,ゲンタマイシンは血液培養陰性を確認後に終了して,アンピシリンで合計3週間治療した.母体腟のGBSの保菌歴はなかった.  退院前の聴力検査,頭部MRIで合併症は認めず,外来にて発達フォローアップとなった.解説 GBSは新生児でもっとも多い髄膜炎の原因で,Gram染色で早期に想定し,菌血症への効果をねらってゲンタマイシンを併用した.Case Study

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