240多剤耐性菌1ESBL産生菌は,カルバペネム系抗菌薬が第一選択薬である.2AmpCラクタマーゼ過剰産生菌は,セフェピム,カルバペネム系抗菌薬が治療選択肢となる.3接触感染対策,水回りの汚染対策が感染管理の基本となる.最低限これだけは!Chapter14多剤耐性菌とは,多くの抗菌薬に耐性をもつ菌である.耐性には,もともと特定の抗菌薬が効かない自然耐性と,細菌の性質が変わって抗菌薬が効かなくなる獲得耐性があるが,その両方のパターンを示す菌もある.多剤耐性菌は,カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(carbapenem-resistant Enterobacterales:CRE),多剤耐性アシネトバクター,多剤耐性緑膿菌(multi-drug-resistant Pseudomonas aeruginosa),バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(vancomycin-resistant Staphylococcus aureus)などがあげられる.本稿では,このうちメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant S.aureus:MRSA)を除く耐性菌について述べる.緑膿菌はペニシリン系,セファロスポリン系抗菌薬をはじめとした多くの薬剤に対して自然耐性である.ピペラシリン,ピペラシリン・タゾバクタム,セフタジジム,セフェピム,カルバペネム系抗菌薬に対しては,獲得耐性がなければ感受性があり,感受性結果を参考にして抗菌薬を選択する( ).Serratia marcescens(S. marcescens)はペニシリン系,第1・第2世代セファロスポリン系抗菌薬に自然耐性がある.第3世代以降のセファロスポリン系抗菌薬には本来,感受性があるが,後述するAmpCβ-ラクタマーゼを染色体性にもっており,治療中の耐性化に注意が必要である.Acinetobacter baumanii(A. baumanii)も緑膿菌と同様,多くの薬剤に対して自然耐性01適正抗菌薬と投与期間は?表1
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