241重要な細菌とその臨床像14であり,耐性獲得もしばしばみられる.成人をはじめとして,広域セファロスポリン系抗菌薬やアンピシリン・スルバクタム(スルバクタムに感受性がある)での治療実績が報告されてきているが,新生児領域では現状,カルバペネム系抗菌薬での治療が安全だと考えられる.Stenotrophomonas maltophilia(S. maltophilia)はカルバペネム系抗菌薬に自然耐性であり,他の多くの抗菌薬に対しても耐性をもっている.スルファメトキサゾール・トリメトプリム(ST)合剤が第一選択薬だが,新生児では核黄疸のリスクがあるため,通常は禁忌である.代替薬はテトラサイクリン系やフルオロキノロン系抗菌薬だが,これらも新生児には禁忌である.まずは真に感染症の原因菌かどうかを慎重に検討し,原因菌であれば感染症専門医に相談する.β-ラクタマーゼの種類と感受性のある薬剤を表2に示す1).基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(extended spectrum β-lactamase:ESBL)はGram陰性桿菌が獲得するβ-ラクタマーゼであり,ペニシリン系やセファロスポリン系抗菌薬に耐性をもつ.ESBL産生菌に対してもっとも治療実績がある薬剤はカルバペネム系抗菌薬である.AmpC β-ラクタマーゼは,ペニシリン系と第3世代までのセファロスポリン系抗菌薬に耐性のβ-ラクタマーゼである.セフェピムやカルバペネム系抗菌薬には感受性で表1 多剤耐性Gram桿菌に用いるおもな薬剤の用法・用量薬剤体重日齢投与量・投与間隔セフェピム≦2 kg≦28日30 mg/kg/回 12時間ごと29〜60日50 mg/kg/回 8時間ごと>2 kg≦28日50 mg/kg/回 12時間ごと29〜60日50 mg/kg/回 8時間ごとピペラシリン・タゾバクタム≦2 kg≦28日100 mg/kg/回 8時間ごと29〜60日80 mg/kg/回 6時間ごと>2 kg≦60日80 mg/kg/回 6時間ごとメロペネム≦2 kg≦14日20 mg/kg/回 12時間ごと15〜60日20 mg/kg/回 8時間ごと>2 kg≦14日20 mg/kg/回 8時間ごと15〜60日30 mg/kg/回 8時間ごと
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