サービスの質と安全管理~安全は医療の基本~第6章 治療ガイドラインは,各種団体により作成されたものがあり,たとえば,日本脳卒中学会の脳卒中治療ガイドライン4)や,日本理学療法士協会の理学療法ガイドライン5)などがある.各種ガイドラインをベースとして,標準的でエビデンスのある治療について学び,それを実際に治療に活用することで,リハビリテーションの質を高め,かつ質を保証する. プロトコルとは,あらかじめ定められている規程や手順という意味である.人工股関節全置換術後を例にあげると,術後1日目に下肢の関節可動域運動(ROM運動)や筋力増強運動を,2日目に車椅子移乗や荷重練習,歩行練習を行うなど6),担当スタッフが異なる場合でも,基本的には規定された時期および治療内容に基づいて介入をすることができるため,それぞれのプロトコルを遵守することがサービスの質を保証することとなる.■■■1 リハビリテーションサービスの質の保証column 医療広告は,たとえば,日本理学療法士協会の専門理学療法士であることについては,「理学療法士熊本太郎【日本理学療法士協会○○専門理学療法士】 ※日本理学療法士協会専門理学療法士についての問合せ先:096‒###‒####(医療機関名)」のようにすることで医療機関のホームページに掲載することが可能となっている.安全管理 安全管理に関して知っておかなければならないことは,ハインリッヒの法則である 7)(第6章2参照).これは人の生命に影響する重大な事故の背景に,一歩間違えると大事故に至る危険なイベント(ヒヤリ・ハット)がたくさんあるという法則である.リハビリテーションに関するヒヤリ・ハット事例では,「リハビリテーション室内」での発生,「酸素療法機器」に関する報告が多く,また,ヒヤリ・ハット全事例の24%を職種経験1年目が占めていた8). そのほか,リハビリテーションにおいて発生する可能性のある事故として,筋損傷,骨折,やけど,道具や機器による外傷,義肢装具の不適合や誤使用,窒息・誤嚥,離院(認知症の方などが許可なく勝手に院外に出てしまうこと)などがあるため,マネージャーはもちろんであるが,スタッフのリスクマネジメントを行うことで,患者だけでなく,組織全体を守ることにもつながる9). クレームとは,患者の期待と現実とのギャップから発生する不満や不平であり10),そもそものリハビリテーションの質を高めておくなど,患者に不満などを抱かせないように努める
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