リハビリテーションにおける管理運営とは?第1章 「管理運営」は,セラピスト養成校の新しい指定規則に盛り込まれた学修内容である.リハビリテーションを行うにあたり,評価や治療方法の知識・技術の向上だけでなく,接遇,安全管理,労務管理なども含めて管理してこそ質の高いサービスが提供でき,このことが職場の永続性につながる.31 リハビリテーションに管理運営が必要なワケcolumn1)人材育成 「人材育成」は,セラピストとしての評価や治療技術のみならず,組織人としての多職種連携能力や文書作成など業務遂行能力も含め人を育てることである. 所属する職場内での新人教育,勉強会だけでなく,日本理学療法士協会など各種団体の経験年数別による生涯学習プログラム,学術大会,研修会なども人材育成に一役買っている. また,職場に話を戻すと,将来のリハビリテーション部門の管理運営の責任者の育成も必要であり,その部署が永続的に質の高いリハビリテーションサービスを提供することも意識しておくべきである.2)臨床研究 リハビリテーションにおいては臨床研究が重要で,リハビリテーションの効果を検証するためにも研究を実施する必要がある. 研究マインドをもち,研究のために論文や書籍に目を通すことで,自身の知識や技術を向上させることにつながる.そして,新たな治療法の開発につながる臨床研究結果を出すことができれば,その病気で苦しむ患者の多くを助けることにもつながる. 研究は一人で行うよりも,所属する職場の先輩セラピストや医師・他職種,大学教員などと研究チームを形成し,みんなで頑張ることが臨床研究を前進させる近道である.安全管理 リハビリテーションの現場では,医療事故やヒヤリハットが起こることがある.日本医療機能評価機構の医療事故データベースをもとに,事故の当事者がセラピストであるものについて調査した結果,酸素療法機器関連の事故・インシデントが多く,具体的には酸素投与忘れや流量設定間違いが多かったとされている1).そのほか転倒や窒息はリハビリテーション医療と関わりが深く,有害事象の予防が大事である2).
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