2657子どもの花粉症診療の極意
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2中鼻甲介中鼻道下鼻甲介下鼻道最後に鼻腔の診察です.なぜ最後かというと,子どもたちの多くは医療者に鼻を触られると綿棒を突っ込まれるのではないかと警戒しているからです.コロナ禍の最中は,「病院=鼻に綿棒」というイメージが定着してしまい,鼻を手で隠して診察室に入ってくる子どもたちさえいました.皮膚の診察や聴診などで,ある程度子どもと仲よくなってから鼻腔の診察をすると警戒心が少しは解けていることも多いです.耳鼻咽喉科医以外は鼻腔の診察は慣れていないので省略しがちだと思いますが,鼻症状を訴えて受診している患者さんの鼻を診ないのは,咳の患者さんの聴診をしないのと同じです.上気道症状を訴えて受診された患者さんに対しては,必ず鼻腔の診察をする習慣化が大切です.「鼻くそチェックするよ」と言って鼻腔診察をすると,子どもたちはゲラゲラ笑って見せてくれます.鼻腔所見をとる前に,鼻腔の解剖がイメージできていることが必須です.外鼻孔から鼻腔を診ると,正面に下鼻甲介が見え,その奥に中鼻甲介が見えます(図 2-7).診察するときは,患者さんに顎を挙げて上を見てもらう姿勢(第 2 頭位)で,診察者は鼻の奥を覗き込んで,中鼻甲介を探しにいく気持ちで診察します(図 2-8).ペンライトなどで光を当てるのですが,光が目に入ると子どもを怖がらせてしまいます.ライトを持っていない手で患者さんの目を隠してあげるとスムーズに診察ができます.前鼻鏡で鼻孔を広げて見るとよく見えるのですが,前鼻鏡がない場合も,鼻尖部を上に持ち上18鼻腔所見のみかた前頭洞上鼻甲介中鼻甲介下鼻甲介蝶形骨洞外鼻孔からの鼻腔所見嗅部Chapter 2 花粉症の診断図 2-7 鼻腔の解剖図鼻腔所見のみかたと評価方法

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