Chapter舌下免疫療法(SLIT)の導入と実践項目問診スギ花粉飛散時に鼻・目症状があるか確認外遊び後の症状悪化の有無家族と同時期に症状が出ているかを確認し,スギ花粉症の可能性を評価診察鼻・眼・皮膚・呼吸音を確認し,他のアレルギー疾患の有無を評価合併する疾患(アレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎,気管支喘息)のコントロール状況を確認喘息が疑われる場合は強制呼気や問診(咳・喘鳴・気道過敏性)を行い,3 か月の安定を確認後に SLIT 導入資材を用いた説明スギ SLIT は根本治療であること症状の軽減や消失が期待できるが効果発現には数か月かかること舌下に錠剤を 1 分間保持する治療法であること原則 3 年間継続し,終了後も数年間効果が続くこと実施可能かの確認舌下にスペースを作れるか確認(口を大きく開けて「あー」と言わせる)3 歳以上なら上記が可能なことが多い内容❸資材の提供および簡単な説明❹ SLIT ができそうかチェック(図 6-1)表 6-1 導入前のポイント喘息を合併していたケースを経験します.診察時に強制呼気をしてもらい,咳が出ないか?喘鳴が聞こえないか?を慎重に評価します.同時に,天気が悪いときや台風が来たときに咳が出ないか?他の人が咳き込まない程度の線香や花火の煙で咳き込むことはないか?など気道過敏性を思わせる症状がないかも問診します.もし,喘息がありそうであれば,喘息としての治療を行い,喘息コントロールが安定しているのを確認してから SLIT を導入するようにします.どのくらいの期間,確認すればいいかについては,私は 3 か月は安定していることを確認するようにしています.参考になるのは,喘息患者が予定手術をする際に 3 か月は喘息コントロール安定を確認していることです.メーカーが作成している資材を活用して以下を説明します.・スギ SLIT はスギ花粉症の根本治療であること.・スギ花粉症の症状をゼロあるいはやわらげることを狙った治療であること.・すぐには効かないが数か月かけてジワッと効いてくること.・舌の下に錠剤を 1 分間置く治療であること.・原則 3 年はできるだけ毎日続けること.・3 年間続けたらやめた後も効果が数年続く治療であること.SLIT をはじめる前に,子どもがアレルゲン錠を舌の下に保持できそうかどうかを確認します.そのためには,まず「舌下にスペースをつくれるか」をチェックする必要があります.とはいえ,891 舌下免疫療法(SLIT)導入の手順6
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