2666頭頸部診療とことんエコー活用術
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A 頭頸部診療とエコーabcd3バーすることが可能であるが,特殊な場合として,口腔内の奥や口腔底の観察,また,術中エコーで術野の深部を観察する場合などは,先端が細く小型になっているホッケースティック型探触子やダビンチ手術用探触子があるとより便利である(図1).基本的なBモードゲイン,ダイナミックレンジ,フォーカスなどを頸部検査に適した値に初期値としてプリセット設定しておくことで,常に同じ条件で装置を立ち上げて検査を開始することができる.さらに,組織ハーモニックイメージングや,コンパウンドといった画質向上のための様々な画像処理モードが搭載されている場合も,同様に,それらのモードを常時用いるかどうか判断し,必要なモードを選択した一定の初期画像条件設定を行っておくとよい.また,最近の装置であれば,ほとんどの画像調整機能が自動化しているため,検査ごとに大きく設定を自分で調整する必要はなくなっている.しかし,頸部皮膚や筋肉の厚みや皮下脂肪量にはかなり個人差があるため,必要に応じて調整ができるように各調整の意味を理解しておかなくてはならない.かつては画像をプリンター印刷,もしくはX線写真と同様にフィルムに焼いて保存していたが,現在ではデジタル画像として診断装置内外のハードディスクへの保存や電子カルテへの送信が可能となった.静止画,動画を含めて大容量データの記録および電子カルテ上の閲覧や貼り付けが容易になったことは,過去データとの比較もしやすくなり,エコー検査の客観性,再現性の向上につながっている.病院での診療の場合には,カンファランスなどで複数の医師でエコー画像を見直し再検討することもでき,手術中にも手術室でエコー画像を掲示しながらの手術が可能となり,エコーの利便性と有用性がますます高まりつつある.被検者を仰臥位とし被検者の頸部が検査者の腕が容易に届く範囲にくるよう枕の位置を調整する.特に腹部や心臓のエコーと同じ検査室で検査を行う際には注意が必要である. c 装置の調整 d 画像データ管理図1 頭頸部エコーに用いる探触子a:体表用リニア型探触子(中心周波数11 MHz,視野幅40 mm)b・c:ホッケースティック型探触子d:ダビンチ手術用探触子 2 頸部エコーの実際の手順と注意点 a 検査の実際(図2)

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