口腔底がんケース紹介A 口腔の診療A▲口腔の診療51実践編とことん活用術40歳代女性主訴:口腔内の疼痛病歴:口腔底の疼痛あり,前医を受診.生検を施行され,扁平上皮がんの診断となった.今後の精査,加療目的に当院紹介となった.飲酒:毎日ビール1L喫煙:10本×28年既往歴:帝王切開エコー画像と所見エコー画像と所見を図1に示す.検査(図2)多職種カンファレンスで検討し口腔底がんcT3N1M0ステージIIIと診断した.治療手術の方針となり,口腔底切除術+舌部分切除術+両側頸部郭清術+前外側大腿皮弁再建術+気管切開術を施行した.口腔底がんは口腔がんの亜部位であり,病期分類には舌がん同様に深達度の測定が必要となる.口腔底がんは口腔底方向,歯肉方向または内舌筋方向へと浸潤しうる.口腔内の複雑な立体構造に加え,浸潤の仕方によってはMRIでの深達度の測定が煩雑となる.口腔内エコー検査は直接粘膜に接地することで,深達度の測定が可能となる.また,外舌筋や舌骨上筋群への浸潤も観察でき,手術の際の切除範囲の推定に役立つ.愛知県がんセンター頭頸部外科/寺田星乃口腔底がん2
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