1abK 頭頸部外科手術におけるエコーの活用K▲頭頸部外科手術におけるエコーの活用 223エコー検査は他の画像検査よりも鋭敏に腫瘍の部分的な性状変化,浸潤傾向や血流,また周囲の血管・筋肉などとの位置関係,深さといった情報をリアルタイムに得ることができるため,術中使用における有用性は高い.また手術時における摘出組織の安全域設定,腫瘍やリンパ節など病変の取り残しの確認などにも役立つ(図1).特に舌切除においては,切除時の牽引走査により切離面が歪み腫瘍に近接したり,逆に予定より大きく切除したりすることを防げ,想定した切除ラインで確実な切除を行うことができる(図2,3).術中エコーでは洗浄消毒滅菌可能な探触子を使用するか,ディスポーザブルなビニール製滅菌カバーを未滅菌の探触子に被せて使用する.頭頸部領域のエコー検査で通常使用する視野幅4 cm前後の探触子は,術中走査では取り回しがむずかしいため,小型のものを使用するとよい(図4).滅菌可能な探触子は滅菌ゼリーなどを使用しなくても,生理食塩液を観察部にたらすことで十分接地するため問題なく観察可能である.a: リンパ節の場所,深さ,周囲組織との位置関係などを清潔野においb:術野に直接あてて,リンパ節の取り残しがないかを確認している実践編図1 実際の検査ても確認している国立病院機構四国がんセンター頭頸科・甲状腺腫瘍科/橋本香里術中エコーの適応と評価
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