2671やさしい小児の皮膚科
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第Ⅰ部◦知っておきたい小児の皮膚の診かた・考えかた 新生児背部の医療関連機器圧迫褥瘡(MDRPI)汗腺は発汗を通じて,体温の調節を行う.発汗によって体温を調節することは,他の哺乳類ではほとんどみられず,ヒト独自の機能である.健常成人男子の最大発汗量は約1.8 Lとさ3.皮膚付属器5マトリックスを産生し,真皮の維持に不可欠である.このほか真皮には免疫を担当する種々の細胞がある.抗原提示を行う樹状細胞,メモリーT細胞,皮膚の老廃物の除去などに関わる組織球(マクロファージ),感染防御やアレルギーに関与し,ヒスタミンを代表とする様々なケミカルメディエーターを放出する肥満細胞などがあげられる.真皮の特徴として皮膚付属器があることがあげられる.皮膚付属器には,汗腺,毛,脂腺がある.a.エクリン汗腺とアポクリン汗腺汗腺にはエクリン汗腺とアポクリン汗腺がある.汗腺の分泌部は真皮下層から皮下脂肪織に存在し,そこから導管が伸びて汗が出る.エクリン汗腺は表皮に直接開口して汗を分泌する一方で,アポクリン汗腺は毛包の上部に開口する.神経支配に関しては,エクリン汗腺は交感神経支配であるが,アセチルコリン作動性であるのが特徴である.一方,アポクリン汗腺は主にアドレナリン作動性と考えられている.アポクリン汗腺毛包 図2 皮膚の構造脂腺立毛筋メルケル細胞マイスネル小体乳頭層網状層エクリン汗腺ファーテルパチニ小体 図3 カテーテル圧迫による医療関連機器圧迫褥瘡(medical device related pressure injury: MDR-PI).新生児はまだ皮膚が弱く,真皮が薄いため,皮膚の圧迫に対して脆弱である.表皮真皮皮下組織1 皮膚の構造と機能

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