2671やさしい小児の皮膚科
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図2 おむつ皮膚炎 図3 おむつ皮膚炎(皮膚潰瘍)に対するストーマパウダー製剤の使用例処置開始後2週間で上皮化した.第Ⅱ部◦知っておきたい小児の皮膚疾患1.疾患概念2.臨床症状3.鑑別診断ロファイルを有していることを報告した4).新生児痤瘡すべてが自然軽快するわけではなく,おむつに接触する臀部・外陰部に生じる紅斑,丘疹,びらんなどの皮疹で,皮膚カンジダ症などの感染症を除外したものを指す.「おむつかぶれ」とも呼ばれる.一般的に1歳以下では70%が経験し,1歳から1歳半では50%,1歳半から2歳では20%へ減少するともいわれる.性別や人種による有病率に違いはなく,母乳で育てられた乳児のほうが重症度は低いとされる.発症機序として,汗や尿による高温多湿な環境のなかで,排泄物との接触により刺激性接触皮膚炎を生じる.さらに過度の洗浄やウェットティッシュなどによる摩擦刺激で皮膚バリアを破壊するケースも多い.尿が皮膚に付着し時間がたつとおむつ内のpHを上げる.便からのプロテアーゼ,リパーゼも皮膚の紅斑や一定数はアトピー性皮膚炎へ移行することを念頭に置いて診療を行う必要がある.びらんに寄与する5).さらに軟便,水様便になると一気におむつ内はアルカリ性に傾き,皮膚バリアを損傷する.臀部,下腹部,大腿内側部,大陰唇,陰囊など,おむつと接触する凸面に紅斑,丘疹,びらんなどを生じる(図2).初期には紅斑,丘疹が散在し,中等症以上になると浸軟し,びらんを伴う広範な紅斑となり,重症では打ち抜き様潰瘍または堤防状隆起を伴うびらん局面を生じる.びらんや潰瘍があると痛いため,おむつ交換時に啼泣する.おむつ内の凸面よりも鼠径部のしわや陰囊・陰唇基部などのひだやしわに一致した症状があ88 Ⅱおむつ皮膚炎

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