2674リハビリテーションに役立つ画像の見かたガイド
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123もやもや病は両側の内頸動脈終末部から前大脳動脈・中大脳動脈分岐部にかけて狭窄が徐々に進行する疾患である(図 1-A,B).不足した脳血流を補うために側副血行路が発達し,煙が立ち昇るように見えるためもやもや血管とよばれる(図 1-C,D).10 歳未満の小児と 30~40 代の成人に好発する.小児では,激しく泣いたときや楽器を吹いたとき,熱いものを吹き冷ましたときなどに,一過性脳虚血発作や脳梗塞を起こす(図 2).成人では,脳虚血発作のほかに脳出血を起こしやすい(図 3-A).脆弱なもやもや血管が破綻して,脳出血の原因となることが示されている(図 3-B).虚血例ではアスピリンなどの抗血小板薬を内服する.虚血例や一部の出血例では,再発を予防するために浅側頭動脈と中大脳動脈をつなぐ直接バイパス術(図 4)や,脳の表面に筋肉や硬膜を敷き込む間接バイパス術を行う.脳梗塞や脳出血を起こした場合には,部位により運動麻痺や失語症,高次脳機能障害が生じる.学童期の小児では,遂行機能障害や記憶障害,注意障害などの高次脳機能障害により学習困難を生じるケースがある.医療関係者や教育関係者が児の困りごとを共有して,チームとして就学支援を行うことが重要である. 脳梗塞や脳出血の急性期においても,全身状態やバイタルサインを注意しながら,できるだけ早期にリハビリテーション治療を開始する. 虚血例では,激しく泣いたり,激しい運動をすると過換気となり,脳虚血発作を起こすことがある.また,脱水とならないようにこまめに水分摂取を行うようにする. 出血例では,急性期には収縮期血圧が 140 mmHg を超えないように注意し,それ以降では 180 mmHg を超えないようにする.リハビリテーション治療と留意点もやもや病の画像の特徴もやもや病の治療と経過もやもや病の機能予後と所見Part 4|頭部の疾 患と障害の画像評価を理 解 しようB | 出 血 性 脳 血 管 障 害8 もやもや病・脳動静脈奇形

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