2675骨・軟部腫瘍 改訂第3版
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▲文 献1) Chung EB, et al.: Fibroma of tendon sheath. Cancer 44: 1945-1954, 19792) Glover M, et al.: Intra-articular fibroma of tendon sheath arising in the acromioclavicular joint. Skeletal Radiol 43: 681-686, 20143) Chung EB, et al.: Fibroma of tendon sheath.Cancer 44: 1945-19544) Fox MG, et al.: MR imaging of fibroma of the tendon sheath. AJR Am J Roentgenol 180: 1449-1453 20035) Carter JM, et al.: USP6 genetic rearrangements in cellular fibroma of tendon sheath. Mod Pathol 29: 865-869, 20166) WHO Classification of Tumours Editorial Board(ed): WHO Classification of Tumours, Soft Tissue and Bone Tumours. 5th ed., World Health Organization, 第3章2020軟部腫瘍 2線維芽/筋線維芽細胞性腫瘍A良性腫瘍柴 瑛介/神島 保/木村浩明 1 概 念 2 疫 学1) 3 画像診断 4 病理診断 5 治療・予後第3章 軟部腫瘍腱や腱鞘あるいは関節包に関連して発生する,周囲との境界の明瞭な良性線維性腫瘍であり,通常腱鞘に接して存在する.豊富な膠原線維性背景に,異型性に乏しい紡錘形細胞がしばしばスリット状の血管や裂隙を伴いながら増殖する.若年成人から中年の四肢遠位部に好発する.特に手指の屈筋腱に接して発生しやすく,母指,示指,中指の順に多い.関節内(手関節,肘関節,足関節,膝関節)にも生じることがある.まれながら体幹発生例も報告されている.女性よりも男性にやや多い.手や足の腱鞘から特徴的に発生し,境界明瞭な分葉状の構造を示すことが一般的である.関節内での発生は極めてまれである2).から低信号を示し,腫瘍が腱または腱鞘に付着している様子が通常明瞭に確認される(図1).時折,T2強調画像において,腫瘍は中央部で高信号,周辺部でやや低信号を示すことがある.これは,腫瘍が細胞密度の増加しa)単純X線写真:通常異常がみられないが,腫瘍の圧迫効果により骨の侵食が生じることがある3).b)CT:骨侵食の評価が容易となる.c)MRI:腫瘍はT1およびT2強調像で骨格筋と等信号た中央部と粘液状変化を伴い,細裂状の血管を背景に含んでいることを示している4).造影パターンは様々であり,軽微から顕著な増強効果を示しうる.d)画像上の鑑別診断:限局型腱滑膜巨細胞腫が類似した画像所見を呈する.腱鞘線維腫は,T2*強調像においてヘモジデリン沈着を示すbloomingが欠如している点が典型的な腱滑膜巨細胞腫と異なっている4).a)肉眼像:境界明瞭な小型(3 cm以下)の硬い結節性病変として認められる.割面は灰白色〜白色で比較的均質であるが,しばしば囊胞性変化を伴う.b)組織像:豊富な線維硬化性基質を背景に,異型性に乏しい紡錘形細胞が疎に増殖する(図2).核分裂像は目立たない.スリット状の血管や裂隙が特徴的であり,高頻度に粘液腫状変性を伴う.辺縁部を主体に細胞密度の増加が認められるなど,不均一性がみられやすい.時に腫瘍細胞が束状あるいは花筵状に増殖し,結節性筋膜炎に類似する密度の高い領域(図3)を伴うことがあり(富細胞亜型),結節性筋膜炎と同様にUSP6遺伝子再構成が認められることがある5).免疫組織化学染色では,しばしばalpha-SMAに陽性となるが,desminやh-caldes-monは陰性である.腫瘍の辺縁切除を行う.切除後の局所再発率は10%程度と報告されている1, 6).2144.腱鞘線維腫Fibroma of tendon sheath

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