2カリウム代謝K+K+Ⅰ総論 第2章腎とホメオスタシス 1 体内におけるカリウムの流れ 2 カリウムの吸収 3 体内のカリウムの分布図1 細胞膜におけるカリウムの調節 4 腎における血清カリウム値の調節Ⅰ総論 第2章 腎とホメオスタシス 1日に食物中から腸管上皮細胞に吸収されるKは50~100 mEqで,そのうちの90%は尿から,残りは便から排泄され,わずかに汗からも排泄される.体内においてはその98%が細胞内に存在し,2%のみが細胞外液中に存在する. 食物中のKは主に十二指腸,空腸の小腸上部で吸収される.腸管上皮細胞の刷子縁において,腸管内と細胞外液の濃度勾配を利用して受動輸送により細胞外液中に吸収される. 体内にはKは約3,000 mEq(1価の陽イオンなので3,000 mmol)存在するとされており,そのうちの98%が細胞内に存在し,残りの2%が細胞外液中に存在する.その濃度は細胞内では約140 mEq/L,細胞外液では約4 mEq/Lである.細胞膜にはKが自由に通過するKチャネルが存在し,濃度勾配に従い細胞内から細胞外に流出しようとする力が常に働いているが,それに釣り合うように細胞内にKを引き留めるための負の電位が発生する(図1).この電位は静止膜電位(約-70 mV)とよばれている.静止膜電位は,細胞の興奮性を維持する役割を果たし,膜電位があることで,細胞は外部の刺激に反応しやすくなる.特に神経細胞では,適切な静止膜電位が神経信号の伝達に不可欠である.この平衡状態を維持するためにATPのエネルギーを使って細胞内にKを取り込み,細胞外にNaを放出する輸送体がNa‒K‒ATPaseである.細胞内のKは,細胞内で張度を形成することで水分を細胞内にとりこみ細胞内液を維持することや,心臓,筋肉,神経などの細胞で細胞の1)近位尿細管(図2) 糸球体から濾過された原尿中のKの70%が再吸2)Henleの上行脚(図3) 糸球体から濾過された原尿中のKの20%が再吸機能維持のための役割を担っている. 糸球体においてKは原尿中に自由に濾過される.その後,近位尿細管とHenle上行脚においてほとんどが再吸収され,その後,集合管でアルドステロン依存性に分泌されることで血清K値が調整されている.それぞれの部位で以下の機序により再吸収,分泌がされている.収される.その機序はKのチャネルや輸送体の働きによるものではなく,Kは近位尿細管上皮細胞間隙を自由に通過できるため,①細胞外液と尿中のK濃度差による濃度勾配によって再吸収される他,②近位尿細管細胞内へは様々な輸送体によりNaが大量に再吸収されており,それに従い大量の水も再吸収されるため,同時にKも吸収される.Na-K-ATPase←親水性←親水性Na+細胞外(カリウム低い)カリウムチャネル静止膜電位の発生(約-70mV)細胞内(カリウム高い)疎水性28
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