2676小児腎臓病学 改訂第3版
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表1 血清カリウム値の年齢別基準値 b 低カリウム血症30Ⅰ総論 第2章 腎とホメオスタシス男女下限値0~1か月4.081~2か月4.202~3か月4.183~4か月4.104~5か月4.025~6 か月4.006~7か月3.957~8か月3.908~9か月3.859~10か月3.8310~11か月3.8011~12か月3.751歳3.642歳3.603歳3.604歳3.605歳3.606歳3.607歳3.608歳3.609歳3.6010歳3.6011歳3.6012歳3.6013歳3.6214歳3.6815~20歳3.70検体数:18,331件(田中敏章:小児の臨床検査基準値ポケットガイド.第2版,じほう,74‒75,2014より引用)がったT波(テント状T波) ② 中等度の高カリウム血症(6.5~7.5 mEq/L):延長されたPR間隔,P波の低下または消失,幅広いQRS波 ③ 重度の高カリウム血症(7.5 mEq/L以上):極端に幅広いQRS波,sine wave pattern(シネ波パターン,QRS複合体とT波が融合し,波形が滑らかで周期的なサイン波のように見える状態),心室細動または心停止のリスク増加 一方,低カリウム血症でも以下の所見を呈する. ① T波の平坦化 ② U波の出現(U波は,T波の後に現れる小さな波で,低カリウム血症の場合にはその振幅が大きくなることがある.) a 検査の意義と適応 尿中K排泄量は遠位尿細管におけるKの排泄能に2)尿中K値測定 低カリウム血症を認める際に,随時尿で尿中K濃3) TTKG(transtubular potassium gradient)2) ③ QT間隔の延長(致死性不整脈を誘発することがある.) ④ P波の変化(P波が大きくなったり形状が変わったりすることがある.) ⑤ 心室性不整脈度が15 mEq/L未満,尿中K・クレアチニン比で15 mEq/g・Cr未満,尿中K排泄率(FEK)が10%未満の場合は腎外性のK喪失の目安となる.ただし,尿中K濃度は多尿や脱水時には信頼性を欠く.(図5)依存しており,アルドステロンの作用の強弱が尿中K排泄量を規定している.そのため,TTKGの測定により,遠位尿細管におけるアルドステロン作用によるK排泄能の測定が可能となる. b 検査法の原理 TTKG=〔UK×Posmolality〕/〔PK×Uosmolality〕  UK:尿中K濃度(mEq/L)  POSMOLALITY:血清浸透圧(mOsm/kg)  PK:血清K濃度(mEq/L)  Uosmolality:尿浸透圧(mOsm/kg)で計算する.尿K濃度は水分量に左右されるため,尿浸透圧を血清浸透圧で補正することにより,遠位尿細管におけるK濃度が血清と同じ浸透圧であった場合の数値の推測値として血清K値との比を求める.それにより遠位尿細管におけるK排泄能を推定する. c 基準値 低カリウム血症存在下での基準値: ①2以上で正常値 ②5以上で高値 高カリウム血症存在下での基準値: ①成人:3以下で低値 ②小児:4.1以下で低値 ③乳児:4.9以下で低値 d 検査の注意点 尿中Na濃度が25 mEq/L以上および尿浸透圧が血清浸透圧を上回る場合のみ信頼できる測定値を得ることができる.中央値上限値5.186.025.095.904.905.724.805.604.705.534.655.454.605.404.555.334.505.254.455.204.405.104.355.084.385.054.274.904.204.804.204.754.204.704.204.704.204.704.204.704.204.704.204.704.204.704.204.704.204.704.204.704.204.70

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