全身性疾患に伴う腎障害2●紫斑病性腎炎Ⅱ各論第3章図2 紫斑病性腎炎の治療フローチャート表3 紫斑病性腎炎のISKDC分類 4 治療1)皮膚症状 安静を基本とした対症療法が中心となる.軽症の2)関節症状 安静を基本とした対症療法が中心となる.軽症の3)消化器症状 入院治療を要することが多く,絶食のうえ輸液管場合無治療で経過観察される.紫斑が遷延する場合には,短期間のグルココルチコイドの全身投与(プレドニゾロン1 mg/kg/日を2週間投与し漸減中止)やジアフェニルスルホン(0.5~2.0 mg/kg/日,保険適用外),コルヒチン(0.5~1.0 mg/日,保険適用外)が考慮される.場合非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)が有効だが,効果不十分の場合にはグルココルチコイドの全身投与が考慮される.4)難治例への追加治療 グルココルチコイド抵抗性の重症・難治例に対し5)紫斑病性腎炎 図2に紫斑病性腎炎の治療フローチャートを示す1).理を行う.グルココルチコイドの全身投与(プレドニゾロン1~2 mg/kg/日)の静注投与を開始し漸減する.H2‒blockerなどの抗潰瘍薬を併用する.効果不十分な場合には,第XIII因子の補充(30~50単位/kg,3日間)が考慮される.ては,ステロイドパルス療法,大量免疫グロブリン療法,免疫抑制薬,血漿交換療法などが考慮される.再燃を繰り返す場合には,病巣感染との関連から,抗菌薬治療,歯科的処置,扁桃摘出も考慮される. 腎炎の症状は,急性期の症状出現から遅れて出現することが多いため,発症時に尿検査,血圧,腎機能が正常であっても,6~12か月間は定期的な経過※DFPP:Double filtration plasmapheresisシクロホスファミドタクロリムス**ミコフェノール酸モフェチル**重症度の定義MildModerateSevereISKDC grade Ⅰ・ⅡISKDC grade ⅢaISKDC grade Ⅲb・Ⅳ・Ⅴまたは,血清アルブミン値<2.5 g/dLが1か月持続または,腎機能低下Severeステロイド+免疫抑制薬§+RAS系阻害薬***±ステロイドパルス療法ステロイドパルス療法に反応不良治療効果判定の時期無症候性血尿蛋白尿で改善傾向あり血尿蛋白尿が増悪※急速進行性糸球体腎炎を呈する場合は早期に積極的治療免疫抑制薬§ミゾリビン*シクロスポリン*アザチオプリン*ネフローゼ症候群に対して適用あり **保険適用外***腎機能低下時には注意が必要Grade I微小変化Grade IIメサンギウム増殖のみGrade IIIa)巣状,b)びまん性メサンギウム増殖,半月体形成<50%Grade IVa)巣状,b)びまん性メサンギウム増殖,半月体形成50~75%Grade Va)巣状,b)びまん性メサンギウム増殖,半月体形成>75%Grade VI膜性増殖性腎炎様(Counahan R, et al.:Br Med J 2:11‒14,1977より引用)(日本小児腎臓病学会(編):小児IgA血管炎診療ガイドライン2023.診断と治療社,46,2023より引用)紫斑病性腎炎小児腎臓病を専門とする医師への紹介基準腎機能低下時血尿蛋白尿出現時※腎生検の適応は施設により異なるので,地域ごとの医療連携が重要腎生検ModerateRAS系阻害薬or ステロイド+免疫抑制薬§治療反応不良血漿交換(DFPP※含む)扁桃摘出術→ 6か月から12か月後→ 3か月から6か月後IgA血管炎経過観察尿検査:2~4週ごとMild経過観察or RAS系阻害薬治療反応不良281
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