Ⅰ1●● 74 Doxy—PEP とは？みんなの基本事項医師向け基本事項専門家向けトピックSTI の予防と対策は世界的に重要な課題となっています．for disease control and prevention：CDC）のガイドラインにも記載されています． 性感染症（sexually transmitted infections：STI）は無症状に経過することが稀ではなく，感染自体に気づかれないことも少なくありません．STI は不妊症や母子感染のリスクともなり，次世代に影響を与える可能性があります．近年，米国では先天梅毒（congenital syphilis）の発生率が過去 10 年間で約 11 倍にも増加しており， ここでは，近年効果が実証されたドキシサイクリン（doxycycline：Doxy）による発症予防について解説します． Doxy による曝露後予防（doxycycline postexposure prophylaxis：Doxy‒PEP）（ドキシペップ）は，性行為後 72 時間以内（理想的には 24 時間以内）に Doxy 200 mg を単回経口投与することで，細菌性 STI（クラミジア感染症，梅毒，淋菌感染症）の発症リスクを低減する予防法です．2024 年の米国疾病予防管理センター（centers 主にヒト免疫不全ウイルス（human immunodeficiency virus：HIV）感染者，男性同性間性的接触（者）（men who have sex with men：MSM），トランスジェンダー女性を対象とした研究が行われ，特に MSM において，クラミジア感染症，梅毒に対する予防効果が示されています． 複数の研究から，Doxy‒PEP は特にクラミジア感染症と梅毒に対して有効性を示し，MSM において，STI 全体の発症を 47～67%，クラミジア感染症の発症を70～88%，梅毒の発症を 73～87% 低減させたと報告されています1）．フランスの研究では，クラミジア感染症と梅毒に限れば 83% の発症抑制効果が報告されています． 淋菌感染症に対する予防効果は研究によって異なり，地域差（17～57%）が報告Doxy—PEP／PrEP
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