2678性感染症ナビ
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DDoxy—PEP/PrEP Doxy—PEP/PrEPⅠ表 1 Doxy—PEP/PrEP の比較75 ●●Doxy‒PEPDoxy‒PrEP性行為前の STI(梅毒,淋菌感染症,クラミジア感染症)発症予防Doxy 100 mg を 24 時間ごとに内服HIV 感染者,MSM,CSW において有効性確認淋菌感染症の発症を低減主に HIV 感染者,MSM,CSWなしDoxy:ドキシサイクリン,PEP:曝露後予防,MSM:男性同性間性的接触(者),HIV:ヒト免疫不全ウイルス,CSW:性風俗産業従事者.目的性行為後の STI(梅毒,淋菌感染症,クラミジア感染症)発症予防投与法無防備な性行為後 72 時間以内(理想的には 24 時間以内)に Doxy 200 mg を単回経口投与有効性MSM において,梅毒,クラミジア感染症に対して高い予防効果淋菌感染症への淋菌のテトラサイクリン耐性率が効果高い地域では効果が期待できない可能性対象主に HIV 感染者,MSM,トランスジェンダー女性保険適用なし注意点・24 時間以内の複数回投与は推奨されない・二価陽イオンとの相互作用に注意・消化器症状,光線過敏症などの副作用・妊娠中の投与は禁忌されています1).これは,淋菌のテトラサイクリン耐性の状況の差に一因があると考えられます.淋菌感染症に対する予防効果が認められた米国の研究によると,2018 年に収集された淋菌のテトラサイクリン耐性率は 17.4~52.0% であったと報告されています.一方,予防効果が認められなかったフランスの研究におけるテトラサイクリン耐性率は 92.3% でした.2015 年に実施されたわが国の研究におけるテトラサイクリン耐性率は 70% を超えていました.これらのデータから,テトラサイクリン耐性率が高い地域では Doxy‒PEP の淋菌感染症予防効果は期待できない可能性が示唆されます. トランスジェンダー女性を対象とした研究では,Doxy‒PEP の有効性が明確には示されていません.これは,副作用や服薬負担,スティグマ(差別,偏見),パートナーの反応への懸念などに起因するアドヒアランスの低下が影響している可能性が指摘されています.Doxy は腟移行性が良好であるため,適切なアドヒアランスが確保されれば,シスジェンダー*1女性においても STI の予防効果が得られる

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