Ⅰ “SOGI/SOGIE”と“LGBTQ＋” ―性の多様性への理解●● 272 ちょっと（池袋 真）みんなの基本事項医師向け基本事項専門家向けトピック（sexually transmitted infections：STI）の診断では，性器，口腔，直腸・肛門などの どのような医療現場においても，外見からの安易な判断で診療を進めることはできません．性自認，性的指向，性行動は外見から推測することが困難であるため，個々の患者の状況に合わせた丁寧な問診とリスク評価が不可欠です．腟性交，口腔性交，肛門性交など，多様な性行為を行う人がいます．そのため，性感染症複数部位で検査が必要となる場合があります． 性行為の内容，ホルモン療法の状況，過去の感染歴などを丁寧に聴取し，個別の感染リスクを評価したうえで，適切な予防法を提案することが大切です．医師には，専門的な知識と共感をもって，患者をサポートする姿勢が求められます． トランスジェンダーであってもシスジェンダーであっても，STI の基本的な診療原則に大きな違いはありません．ただし，性行動の多様性や解剖学的背景，ホルモン療法の有無などを考慮し，必要に応じた検査項目の選択や配慮が求められます．診療では丁寧な問診を行い，検査内容や処方薬について患者と相談のうえ同意を得て診療にあたることが大切です．ジェンダーに関わらず，誰に対してもヨリミチ 「SOGI（ソジ）/SOGIE（ソギ）」は，「性的指向（sexual orientation）」と「性自認（gen-der identity）」，「性表現（gender expression）」の頭文字を組み合わせた言葉であり，すべての人に関わる概念です．LGBTQ＋の人たちだけでなく，異性愛者やシスジェンダーも含めたすべての人々がもつ多様な性のありかたを尊重し，平等な扱いを保障する社会の実現を目指す文脈で用いられます．つまり，「LGBTQ＋の人たちだけの問題」ではなく，「すべての人に関わる問題」として捉える視点を提供するものです．感染リスクと予防
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